社会的養護施設第三者評価結果 検索

和光寮

【1】第三者評価機関名 セリオコーポレーション(有)
【2】種別 児童養護施設 定員 80名
施設長氏名 榊原 大六 所在地 静岡県
URL http://www.wakoukai-net.com/wakouryou/index.htm
【3】実施調査日 2013年10月31日~2015年01月29日
【4】総評 ◇特に評価が高い点
・入所児童は、幼児、小学生男女、中高生男女の5つの横割りグループで生活している。幼児、小学生、中高生のグループ担当部には、それぞれ経験豊かな職員をリーダーとして配置し、各部職員の研鑽、連携を図り、養育・支援に取り組んでいる。創立以来の理念を継承し、60年の伝統と歴史の上に積み上げ培われてきた養育・支援の在り方の上に、さらに目の前の子どもの課題に応じた様々な新しい方法を積極的に取り入れ、養育・支援している。
・職員は、施設長の専門性に裏打ちされた信念を十分理解し、絶大なる信頼を寄せている。施設長への信頼と施設長のリーダーシップのもと、職員もそれぞれの能力を積極的に活かし、自らより高い要求水準を掲げ、入所児童へ深い愛情を注ぎ、前向きに真摯に養育支援に努力する姿が見られた。
・入所児童のうち、虐待を受け心に深い傷をもつ児童、愛着障害を起こしている児童、家庭で十分な養育をされることなく成長した高学年児童等で、今後自立していくために、さらにきめ細やかなケアと社会生活のためのスキルアップが必要とされる児童に対して、同敷地内の、本体施設とは別の建物(「和光の家」)において小規模グループケアを実施している。また、被虐待児等で個別の支援が必要な幼児や小学生には、週3回、1回3~4時間個別指導員を配置し、きめ細やかな処遇、個別支援に当たっている。
・児童間の暴力をはじめ、施設内のあらゆる暴力に対して、委託した外部委員と施設職員から選出した委員とで「和光寮安全委員会」を組織し、暴力行為への対応を行っている。委員会は、2か月に一度児童からの聞き取りを行い、外部委員3名と内部委員2名による委員会を開催し、委員会で定められたステップのもと対応し、さらに検証を行い、継続的な指導を実施している。委員会の活動の意義は、児童たちにも広く認識されており、どのような件についてどのように対応したか等、指導内容や経過を和光寮安全委員会通信として、子どもたちにも分かり易く伝えている。毎年の安全委員会立ち上げ式には、子どもも職員も参加する等、共通意識のもと、あらゆる暴力を排除し、入所児童が安心で安定した生活ができるよう取り組んでいる。組織・システムとして暴力や圧力を抑止・指導していくこの取り組みは、本年で6年を経過し、良い効果が表れている。
・子どもの安全確保のための体制を整備し、安全確保の取り組みを組織的、継続的積極的に行っている。特に、東海地震の発生に備え、東日本大震災の被害を受けた東北の児童養護施設に「震災時に施設としてどのようなことに困ったか」等についてのアンケートを依頼し、その回答を基に、巨大地震に対して施設としてどのような対策が必要か検討し、従来のマニュアルではなく東海地震発生を想定した新しい災害発生時マニュアルを作成中である。東海地震対応の災害発生時マニュアル整備後のさらなる防災対策への取り組みが期待される。
・各会議や委員会(運営委員会、安全委員会、施設内感染対策委員会、災害対策委員会、人権擁護委員会、事故ヒヤリハット委員会、食育委員会、生活環境見直し委員会、性教育委員会)の設置等それぞれの事業実施のためのシステムの確立と適切で妥当性のある各種マニュアルの整備がなされ、実施後は、必ず振り返り・検証がなされている。また、すべての養育・支援事業に関して、計画、実行、振り返り、改善に至るまでの記録を記載した記録簿がそれぞれ整備され、継続した取り組みが行われていることが、記録の上からもよく見てとれた。

◇改善が求められる点
・地域交流の場で接する地域住民や清掃ボランティアとして受け入れている当該地域の保護司等様々な人々から、地域の具体的ニーズを把握するよう努め、施設見学研修会の受け入れや一時保護、電話等での子育て相談に応じているが、地域の子育て支援事業の展開という点では十分とは言えない。法人として、様々な地域支援に積極的に取り組んでおり、法人の福祉の心は、本施設職員にも共通理解されており、今後は、浜松市の第3次地域福祉活動計画に基づいた検討会等に積極的に参加し、本施設としての地域子育て支援事業の展開について検討し、段階的に実施していきたいとの考えであり、今後の取り組みが期待される。
【5】第三者評価結果に
対する施設のコメント
 第三者評価受審は、3年に一度実施することが義務化された。そうしたことから、今回初めての受審となった。実施に当たっては、2日間の両日にわたり、細部にわたって審議いただいた。これまでの施設状況を外部評価委員に審議いただくことは、施設の社会化とともに、社会福祉施設の現況理解をいただくには絶好の機会と認識している。また、目指すべき課題も明確化され、今後の施設活動に反映していきたいと考えている。
 児童養護施設は、個々歴史も長く、施設ごとの理念と時代の社会環境に沿って運営されてきた経緯がある。そうしたことから現在の要保護児童の現況は、すべてマイナスからのスタートであるといえる。個々の子どもたちが自立を目指すには、子どもたちの身体的健康が支援の第一歩と言える。健康なくしては何も始まらない。身体的健康は豊かな精神も育むのである。同時に礼儀作法は児童処遇すべての第一歩である。
 そうした子どもたちの自立支援に向けて日々を重ねていくには、熱き情熱を持った職員が欠かせない。幸いにして、当寮では経験のある職員が各部署を担ってくれ、連携のとれた体制となっている。
 子どもたちの生活環境においては、「安心・安全」をスローガンに暴力排除に向けて日々配慮しているところである。こうした活動も職員、子どもたち全ての総意が不可欠である。
 今回の受審結果から、施設の見える化の活動と同時に、地域における子育て支援等の事業展開を段階的に取り組んでいきたいと感じている。 児童の養育すべては、日々の生活の実践を通じておこなわれるものであり、職員個々の人間性や豊かな人格も必要とされる。今回の受審により、職員個々のたゆまぬ自己研鑽が必要であることを改めて確認させていただいたことに感謝したい。
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