社会的養護施設第三者評価結果 検索

のぎくホーム

【1】第三者評価機関名 (株)中部評価センター
評価調査者研修修了番号 SK18210
25地福第2303-11号



【2】種別 母子生活支援施設 定員 20世帯
施設長氏名 大町千恵子 所在地 静岡県
URL http://tousei.or.jp
開設年月日 2017年04月01日 経営法人・設置主体 社会福祉法人 東静会
職員数 常勤職員 12名 非常勤職員 0名
有資格職員 社会福祉士 2名 保育士 4名
認定心理士 2名 児童指導員 1名
施設設備の概要 (ア)居室数 20室 (イ)設備等 事務室、面接室、保育室
(ウ) 集会室、学習室、静養室、宿直室 (エ) ショートステイ室、トワイライトステイ室、緊急一時保護
【3】理念・基本方針 ★理念
 社会福祉法及び児童福祉法に基づき、民主的な施設運営、基本的人権の尊重を基礎に、母親と共に子どもの健全育成を推進する。生活支援にあたっては、母子を共に入所させる施設の特性を生かしつつ、親子関係の再構築等及び稼働の状況に応じて就労、家庭生活及び子どもの養育に関する相談、助言を行う等の支援により、その自立の促進に努める。
 そして、社会的存在としての役割に鑑み、社会資源の一つとして施設機能を十分に発揮し、施設利用者及び地域住民の福祉推進の中核になるよう、社会的連携を尊重していく。また関係機関や関係団体等とも連携を保ちながら、母子の保護及び生活の支援にあたる。利用契約による施設の適切な利用のために 情報の提供や提供するサービスの質の評価、苦情の適切な解決にも努める。

★基本方針
 母子福祉対策の流れの中で母子生活支援施設の果たす役割に目をむけ、子どもの福祉を進める立場 から、利用者のニーズに対応し、職員の人間性・専門性を高めるとともに設備を充実して支援の質の向上をはかる。
(1) 利用者支援の質の向上 
 ①子どもへの支援 :自主性・創造性の養成、学力の向上、体力の増強をはかる。被虐待児童に対して心理療法を行う。
  ②母親への支援 :円満な人間関係、社会的適応性、可能性の開発を支援し、明るい家庭づくりを目指し、自立をすすめる。DV被害を受けた母親に対して、心理療法を行う。
(2) 施設の安全管理  防火防災設備の点検、避難訓練及び危機対応訓練の実施、建物の安全管理により、利用者の人命と財産の安全管理をはかる。
(3) 職員の資質向上
  ①人間性と専門性を高める :自己の能力の開発、利用者支援に必要な知識・援助技術の修得のため、研修・訓練・学習の機会を設ける。
  ② 施設長のスーパーバイザーとしての役割を重視し、支援体制を明確にし、支援の質の向上をはかる。 
(4) 社会福祉教育への協力  社会福祉をめざす学生の実習を受入れ、福祉教育に協力する。
(5) 地域社会との連携  町会への加入を通して地域との交流をはかりボランティアの受入れを検討する。その活動を通して施設の社会化をすすめる。
(6) 関係機関との連携  関係機関と連携して、母子の保護及び生活支援にあたる。 
【4】施設の特徴的な取組 (1) 母親の相談支援  必要に応じて随時、家庭訪問または面接室での面談により相談・支援する。面談時間は午前9時30分から午後7時とし、必要があれば午後7時以降でも宿直者が行う。
(2) 施設内保育  未就学児童は原則として地域の保育所に通所する。学齢児童は原則として市内の小学校に通学する。これを補完するものとして施設内保育を行い、母親が安心して就労できる環境を保障し子どもの健全育成をはかる。 
①病後児保育 ②補助保育 ③リフレッシュ保育 ④保育所未入所児の保育 ⑤放課後児童保育を行う。
保育時間は午前8時から午後7時。日曜・祝日及び年末年始は原則として休み。これ以外の時間帯でも、個別に相談があれば事情を考慮する。
(3) 母親の自立に向けて  パソコンのインターネット求人検索を定期的に開放して、より新しい求人情報を母親自身が探せるようにする。利用時間は、午前8時から午後9時30分。必要に応じて就労相談を実施するとともに、保育支援、資格取得の支援、ハローワークに同行する。就労の条件をよくするためパソコンを貸出し、母親が自由に使用して必要な技術の習得に役立てる。希望者には練習を支援する。
(4) 学習支援  自立後も独自に学習ができるよう、家庭学習の習慣化、基礎学力の確立、成績の向上をめざして、母子の希望により学習支援を行う。小学生は帰宅後から午後6時まで。中学生及び高校生は、午後6時から午後7時30分まで。定期試験期間及び試験前1週間は、午後10時まで相談室を開放する。
(5) 地域サービス 
①母子家庭等に対する緊急一時保護事業(静岡県女性相談センターの業務委託契約)
②ショートステイ事業(沼津市の業務委託契約) 
③児童相談所の一時保護委託(静岡県児童相談所の一時保護委託児童を受入れる)
(6) 広域入所促進事業  母子家庭の福祉の向上をはかるため、夫からのDV等から避難し保護が必要な母子を広域的に受入れる。
(7) 職員による宿直制  職員の勤務時間は午前6時30分の開門から午後10時の事務所の閉錠時までとし、午後8時から翌日の午後8時までは宿直者2名で管理する。365日休みなく職員が交代勤務する。
【5】第三者評価の受審状況 2019年07月02日(契約日)~ 2020年03月31日(評価結果確定日)
前回の受審時期
【6】総評 ◇特に評価の高い点
◆「働きやすい職場づくり」に向けて
 職員の就業状況を把握し、「働きやすい職場づくり」に取り組んでいる。有給休暇の取得や時間外労働時間に関しては、職員ごとの偏りは見られない。職員にとっては週に1回の宿直勤務が就労条件となっているが、子育て中の職員には宿直勤務を免除するなど、ワーク・ライフ・バランスにも配慮している。一人の有能な職員を失った(離職させた)ことを反省材料として、職員に精神的な負担を強いることとなる「担当制」をあえて敷かず、職員にとっての「働きやすい職場づくり」を進めている。

◆地域の福祉ニーズに応えて
 地域の福祉ニーズを捉え、本業の母子生活支援事業以外にも、様々な事業展開がある。県・女性相談センターとの業務委託契約による緊急一時保護事業や、児童相談所の一時保護児童の受け入れ、市との業務委託契約によるショートステイ(短期入所支援)事業、トワイライト(夜間援護)事業等である。それらの支援の提供場所として、施設内のショートステイ室やトワイライト保育室、緊急一時保護室等が有効に活用されている。

◆事業運営の透明化
 苦情解決のシステムは整備されており、その仕組みは施設内に掲示されている。また、「のぎくホームのしおり」にも明示され、周知がなされている。苦情に関しては、主に「意見箱」や職員への相談によって明確になっている。苦情として処理された事例は前年度51件あり、「事業報告書」に記載して公表している。第三者委員にまで挙がる苦情はないが、第三者委員会は毎年開催され、状況が確認されている。外部の公認会計士の会計監査も受けており、事業運営の透明化が図られている。

◇改善を求められる点
◆研修効果の測定・検証
 事業計画の中に、「職員の資質の向上」と題して教育・研修の方向性を示している。施設長をはじめ職員は積極的に研修に参加し、履修後には「研修報告書」を提出している。課題としては、研修が「研修報告書」で完結しており、研修効果の測定・検証が行われていないことである。また、「研修報告書」の提出が遅れがちなことも改善点として挙げられる。

◆満足度の把握
 母親へは、「のぎく会」にて様々な意見を聴取し、その結果を職員会議に挙げて改善につなげている。片や、子どもに対しては意見聴取の機会は設定されていない。また、書面での満足度調査は母子ともに実施されておらず、入所者の意向を重視したサービス提供への課題となっている。

【7】第三者評価結果に対する施設のコメント  母子生活支援施設を経営するために法人を設立して4年目、施設運営を始めて3年目ですから、組織づくり、支援の質の標準化など、まだ施設の基礎づくり進めている段階です。
今般の第三者評価受審により、まだ未熟な点についてご指摘いただきましたので、ご提案を参考にして、理念や基本方針を基に安心・安全を提供する利用者本位の明るい施設運営のために、これからも変わらず職員一同、努力していきたいと考えています。
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