社会的養護施設第三者評価結果 検索

静岡乳児院

【1】第三者評価機関名 (株)中部評価センター
評価調査者研修修了番号 SK18210
25地福第2303-11号



【2】種別 乳児院 定員 20名
施設長氏名 古屋 光晴 所在地 静岡県
URL http://www.netinsz.ne.jp/~nyujiin/
開設年月日 1967年08月01日 経営法人・設置主体 社会福祉法人エミリー
職員数 常勤職員 26名 非常勤職員 4名
有資格職員 保育士 16名 看護師 5名
栄養士 2名 嘱託医 1名
施設設備の概要 (ア)居室数 3室 (イ)設備等 事務室、診察室、調乳室、新生児室
(ウ) 厨房、洗濯室、面会室、プレイルーム、 (エ) 親子訓練室、スタッフルーム、多目的室
【3】理念・基本方針 ★理念
 社会福祉事業の主たる担い手としてふさわしい事業を確実、効果的かつ適正に行うため、自主的にその経営基盤の強化を図るとともに、その提供する福祉サービスの質の向上並びに事業経営の透明性の確保を図り、もって地域福祉の推進に努める。

★基本方針
 チルドレンファースト
1.子どもの最善の利益の追求と、子どもの権利を守ることを最優先にし、常に、子どもの心と立場で考え行動する
2.子どもにとって親や家族の存在が重要であることを理解し、より良い親子関係を築くため、保護者支援やアフターケアの充実に努める。
【4】施設の特徴的な取組 1.「チルドレンファースト」を理念として、日常の業務を遂行するとともに、抱えている課題の解決にあたっては優先順位の高いものから職員全体で計画的に取り組んでいる。
2.将来を担う人材を育成するため、人材育成方針を策定し、それに基づき計画的な職員研修を展開している。
3.学生の保育実習を積極的に受け入れ、社会的養護に対する理解を広めるともに、有為な人材の育成の一助を担っている。
4.小規模養育を2室(1室定員6人)において実行し、密な関わりを持って養育を推進している。
5.夜勤は、職員の健康管理の面から、宿直制は静養せず、夜勤職員を3名配置し、各人が所定の休憩時間(仮眠時間)を確保できるようにしている。
6.担当養育制を採用しながらも、すべてを担当任せにすることなく、小規模グループ内での連携を図るとともに、組織的には、直接処遇にかかわる 養育グループと家庭及び里親等にかかわる支援グループに分け、それぞれ専門知識・経験を有する人材を配置し、両グループがその専門性を活かしながら協力して入所・養育・退所・アフターケアに取り組んでいる。
7.医療機関等との連携強化を図るため、医療機関等との連絡調整を主に行う職員を配置し、医療機関や嘱託医との連携及び医療機関への受診など業務を担当させている。
【5】第三者評価の受審状況 2019年05月27日(契約日)~ 2020年01月15日(評価結果確定日)
前回の受審時期 平成28年度
【6】総評 ◇特に評価の高い点

◆チルドレンファーストの理念の下に
 子どもの最善の利益と権利を尊重する「チルドレンファースト」の理念の下、常に子どもの心と立場に立って考え、支援にあたっている。事業所全体の指導計画の中にも理念が貫かれ、半期に一度、実施状況の評価が実施されている。職員は、「チルドレンファースト」の精神に則って支援の質の向上に取り組み、子どもそれぞれに母親役を決め、一緒に入浴したり、クッキングを楽しんだりしている。

◆手厚い地域交流・地域支援
 事業計画の中に「地域支援」の基本的な考え方を示し、地域に対する貢献を約している。実際には、子育ての電話相談、児童館が仲立ちとなって参加者が増えてきたベビーマッサージ、ふれあい遊び、里親養成研修の会場の提供、県・社会福祉協議会の事業である「福祉の職場体験事業」の中・高・大学生の受け入れ等、地域貢献の幅が広い。町内会に加入しており、毎日の散歩では行き交う人々と挨拶を交わし、買い物では極力地域の商店を使っている。事業所の夏祭りには町内に案内のチラシを配布し、夏祭りの当日には地域から20名ほどの来場があった。ボランティアの受け入れにも積極的に取り組み、平成30年度には理・美容師や学生、里親、一般等、年間述べ126名の受け入れがあった。

◆家庭を意識した支援
 ユニット制による縦割りの養育により、より家庭に近い生活環境の中で支援が行われている。玩具や食器、衣類などは個別化が実現している。散歩や買物、公園での外遊び、畑での収穫など、地域や自然と触れ合う体験も重視している。食事場面では、子どもが食べやすいようなテーブルや椅子、食器などの配慮が随所になされている。食事時間は適切であり、余裕をもった時間帯が設定されている。子どもが美味しく、安心して食べられる環境づくり、自力摂食への配慮、手洗いや挨拶などの習慣付けなどもなされており、家庭を意識した支援は高く評価できる。

◇改善を要する点

◆包括的な人事管理システムの構築
 施設長は、キャリアパスや人事考課制度と連動させた目標管理制度の近い将来の導入を考えている。現在の目標管理は、養育援助計画に掲げた目標を職員がいかに達成するかに主眼が置かれており、職員一人ひとりの教育ニーズ(弱みを補い、強みを伸ばす)を把握した上での、職員育成やキャリアパスを意識した目標設定とはなっていない。職員ごとに、「キャリアパス」で将来への道筋を定め、「人事考課」で教育ニーズを抽出し、「目標管理」でステップアップを図る。これらが連動したシステムの構築が望まれる。

◆標準的な実施方法として、「養育マニュアル」が整備され、職員全員に配付されている。マニュアルは、不適切な対応や虐待防止など、子どもの権利擁護にも言及しており、チルドレンファーストの精神にも符合する。一方で、マニュアルの周知徹底と実施状況のモニタリングについては確たる仕組みは無く、実施の検証や見直しのシステムが構築されていない。それらは、作成者であるリーダーの判断に委ねられているケースが多い。自立支援計画の内容や職員意見などを参考に、柔軟且つ適切な見直しの実施が望まれる。
【7】第三者評価結果に対する施設のコメント  第三者評価を受審し、運営の内容に一定の評価が得られ、安心した部分と今後改善が必要な部分が明確になりました。評価項目に沿って丁寧な聞き取り調査が行われ、その結果を客観的にコメント頂くことによって、課題を真摯に受け止め、且つそれに向き合う機会が得られたことは、非常に貴重であると思います。
 入所児の安心と安全が確保された養育を続けていくには、これまで以上に人材育成、人材定着に関して努力をしていかなければなりません。加えて、養育マニュアルの実施の検証や見直しをする仕組みづくり、事故記録を基にその後の検証をするリスクマネジメント体制の構築が必要となります。
 過去2回第三者評価を受け、その都度行った改善への取組の結果が、今回の評価に反映されてきたように感じますが、改善はエンドレスで、今回もまた新たな課題が提示されています。今後も、課題に挑戦し続け、チルドレンファーストの理念を追求し、子どもたちにとってよりよい乳児院となるよう頑張って参りたいと思います。
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