【1】第三者評価機関名 | (一社)静岡県社会福祉士会 |
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評価調査者研修修了番号 | SK15102 静岡県H24-b001 |
【2】種別 | 児童心理治療施設 | 定員 | 50名 | |
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施設長氏名 | 西田泰子 | 所在地 | 静岡県 | |
URL | http://www.pref.shizuoka.jp/kousei/ko-820/ | |||
開設年月日 | 1962年09月01日 | 経営法人・設置主体 | 静岡県 | |
職員数 | 常勤職員 | 24(兼務2含)名 | 非常勤職員 | 13名 |
専門職員 | 家庭支援専門職員 | 1名 | 医師 | 3名 |
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栄養士 | 1名 | 心理療法担当職員 | 6名 | |
児童指導員 | 11名 | 看護師 | 1名 |
施設設備の概要 | (ア)居室数 | 男子居室 12室、女子居室 10室 | (イ)設備等 | 体育館 |
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(ウ) | 家庭療法棟 | (エ) | ||
【3】理念・基本方針 | 吉原林間学園ではその使命として以下の2つを掲げています。 ● 子どもの安心感と主体性を育み、積極的に社会参加を楽しめるようになることを目指して支援します。 ● 家族が子どもを支え、導く力を発揮できることを目指して支援します。 この実現のため (1)子どもの権利擁護(子どもの権利を尊重し保障します) (2)家族の尊重(子どもと家族の願いをふまえた支援をします) (3)生活の中での治療(生活の場全体にわたり心理治療的な配慮をします) を方針としており、具体的には (1)受容的な関わり(Listen, Accept & Support) (2)安全な生活環境 (3)育ちの支援 (4)家族との協働 を方法としています。 |
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【4】施設の特徴的な取組 | (1)「被虐待児の特性を踏まえたトラウマ・インフォームドな施設運営」を行うために、トラウマやその対応方法について専門的知識を持ち、愛着とトラウマの問題を抱えた子ども達に安全・安心な生活を提供することにより、生活全般を通じて情緒的成長を図れるよう支援しています。 (2)大舎制の現施設の中でも、極力個別性に配慮する(様々な個別支援メニューや誕生日食事リクエストなど)、グループ活動を小規模化したり希望制にしたりして子どもの自主性を尊重した活動とするなどの工夫を行っています。また、前回の第三者評価時には弱みであった性教育を実施するための準備を進めています。 (3)静岡市内の大学の協力を得て、自律訓練法や動作法、読み書きアセスメントと学習障害への支援の導入など、新しい支援方法の導入に努めています。 |
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【5】第三者評価の受審状況 | 2016年10月13日(契約日)~ 2017年01月20日(評価結果確定日) | |||
受審回数 | 1回 | 前回の受審時期 | 平成25年度 | |
【6】総評 | 【特に評価の高い点】 第三者評価を受けるに際して、評価基準・評価項目にとらわれず、幅広く施設の状態を評価し、現状に甘んじることなく「より質の高いサービス」を目指す姿勢が見られます。 ● 共通評価基準 (1)治療・支援の基本方針と組織に関しては、経営課題を明確にし、事業計画の作成や治療・支援の質の向上に向けた取り組みが、組織的に行われています。 (2)施設の運営管理については、施設長の責任が明確にされ、経営改善や業務の実効性に指導力を発揮するとともに、自らも積極的に学び、職員の教育や研修の機会を確保しています。 (3)適切な治療・支援の実施では、暴力防止アンケートを毎月実施し、子どもが意見を述べやすく、秘密が守られることが理解できるように、環境づくりに取り組んでいます。 (4)治療・支援の質の確保では、標準的な実施方法が確立し、見直す仕組みがあり、適切なアセスメントによる自立支援計画の作成・評価・見直し・実施記録の作成・記録の管理体制と一連の支援がすべて適正に行われています。 ● 内容評価基準 (1)子ども本位の治療・支援では、職員は子どもの尊重と最善の利益が図られるよう、毎日詳細な記録と丁寧な申し送りや、施設長等はこれに対する助言、指導をしています。 (2)被措置児童等虐待対応では被措置児童等虐待対応ガイドラインに基づき実施され、届出・通知についてはマニュアル化してあります。 (3)不適切なかかわりの発見ツールとして子どもにアンケートを実施し、発見した後の対応方法もルール化される他、職員の学習会があります。 (4)中学生と小学生(4年生以上)の会議があり、子どもが主体的にものを考え、職員の支援の下に決めています。 (5)治療・支援では嘱託医師の助言や児童精神科医と連携の上、心理療法方針を明記した自立支援計画を作成しています。職員は心理アセスメントを通じての心理アプローチを展開し、施設内部のスーパーバイズを受けています。 (6)年1度、すべてのケースに検討会が計画にのっとり実施されており、児童精神科医の参加もあります。 (7)食生活では、栄養管理面だけでなく、子どもの好みに配慮し、衣生活では適切な衣習慣を習得する支援、健康面では身体の自己管理ができる等、各支援が適正に行われています。 (8)子どもの暴力や不適応行動・いじめ・差別・保護者からの強引な引き取り等についても適正に対応ができています。 (9)進路選択については、子どもを取り巻く環境が厳しいため、早期の対応を心掛け、学習面では非常勤職員を配置して、学力に応じた支援を行う等の学習環境を整えています。 (10)施設は家族支援や家族関係の調整についても自立支援計画に明示し、親子関係の再構築のための追いかけ調査をしています。 【改善を求められる点】 (1)施設の案内のための資料に支援の方針、治療指導方針として、『Listen, Accept & Support』などがあり、分かり易く書かれていますが、一般配布物や、職員対象の配付物、研修資料等には理念と基本方針をはっきり明記し、周知する必要があります。また、地域に向けても理念や基本方針とともに活動等を説明した印刷物や紙面の配布が求められます。 (2)実習生等の専門職の研修・育成についてはマニュアルの整備と指導者に対する研修が求められます。 (3)県内唯一の情緒障害児短期治療施設で、職員は高い専門性を持っているものの、人員配置に限度があり、地域社会のニーズに応えきれていません。国では被虐待児の増加による需要の増加を把握していますが、施設の持てる機能を広く知らせ、より多くの県民が利用できるよう、「子どもの最善の利益」のために更なる県への働きかけが望まれます。 (4)退所後の外来機能の利用、何年経っても施設に相談できるなどの、退所後の支援について積極的に伝えることが求められます。 (5)年齢に応じた性教育に関して、性的虐待の予防の観点・発生時・事後の支援を含めたカリキュラムの作成が求められます。 |
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【7】第三者評価結果に対する施設のコメント | ・現状に甘んじることなく「より質の高いサービス」を目指す姿勢について評価して頂いたことはとてもありがたく思います。子どもや家族のために、職員は常に悩み迷いながら、よりよい支援を探っています。 ・暴力防止アンケートなど、子どもからの聞き取りによる状況把握を継続し、職員間で共有していく作業は時間・労力がかかりますが、子どもの生活環境を安全・安心に保つことの基本として欠かせないことであり、この点について評価頂いたことも嬉しく思います。 ・一方、日々の支援に埋もれることのないように、施設の理念を職員に周知し、理念に沿った支援が出来ているかを常に振り返る機会を申送りなどの時間に持つように努めます。 ・また、地域社会のニーズに応えるという課題については、改築を機会として、他施設や学校への技術支援や関係機関と連携した研修企画などにより当園での支援技術の還元をはかれるように、関係機関に働きかけたいと思います。 ・年齢に応じた性教育は、現在委員会が設置され具体的な進め方や内容等の検討を行っています。活動を浸透させていくことが課題です。少しずつでも継続した支援を続けます。 |