社会的養護施設第三者評価結果 検索

新潟県新潟学園

【1】第三者評価機関名 (公社)新潟県社会福祉士会
【2】種別 児童自立支援施設 定員 80名(暫定定員22名)
施設長氏名 町田 正彦 所在地 新潟県
URL http://www.pref.niigata.lg.jp/niigatagakuen/index.html
【3】実施調査日 2014年06月01日~2015年03月26日
【4】総評 【特に評価が高い点】
○施設生活を通じて子どもが退所後に家庭等で自立できるように支援している。
 施設を利用する子どもの多くに行動上の課題があるが、これは子どもの生育環境等に起因することが多い。そのため、施設では生活を訓練と位置付けて子どもの養育に努めている。職員は子どもに対して、規則正しい生活習慣や学習習慣等のライフスキルを身に付けることが子ども自身の将来に重要であることを繰り返し説明している。子どもの入所前後を中心に随時、施設での生活や学習、その他の活動の意味や効果について、子どもと職員で話し合い確認している。
 また、子ども一人ひとりに担当職員が配置され、担当職員が重点的に個別に子どもと関わることで信頼関係を築いている。日常の支援においては、男性職員と女性職員が2人1組で支援することで、子どもが父性と母性を感じられるようにも配慮している。このように職員は子どもにしっかりとした動機付けを行い、施設生活を通じて子どもが退所後に家庭等で自立できるように支援している。

○専門的で経験豊富な職員が、チームワーク良く協力して子どものための支援を実践している。
 施設を利用する子どもの特性に配慮し、新任職員の配置は基本的には行わず、他の福祉施設等で経験を積んだ職員が、子どもの変化やニーズに対応できるように配置されている。福祉関係や心理士等の専門資格を保有した職員が多い。また、施設内には小中学校の分校が設置されており、学校教員も施設内に常駐している。これらの支援職員や学校教員、施設に関係するすべての関係者が子どもの利益を最優先に協力体制をつくり、「チーム学園」と題した全体目標をかかげ、お互いに子どもの情報等を日々共有しながら、子どもの支援を行っている。

○恵まれた学習環境で、子どもたちは行事やスポーツに積極的に取り組んでいる。
 子どもは、施設内において1クラス10名以下の少人数制授業を受けている。落ち着いた学習環境の中で子ども一人ひとりの学力に合わせて授業が行われることで、子どもの学力が伸びることも多く、今回の第三者評価におけるアンケートでは子どもからも「勉強が分かるようになった」との意見も聞かれていた。
 また、運動会や読書感想発表会、遠足、修学旅行、クリスマス会など、ほぼ毎月行事があり、行事の企画や運営は子どもが主体的に関われるように工夫されている。クラブ活動としては剣道や柔道、野球があり、特に野球部は大会に向けて子ども自身が主体的に楽しみながらグラウンドで一生懸命練習をしている姿を垣間見ることが出来た。このような活動によって、主体性や責任感、自己肯定感等を子どもが感じられるように支援している。

【特に改善が求められる点】
○施設の実践と基本方針との連動・整合性を図ったうえでのより一層の推進が期待される。
  施設の基本的な方針としては、「新潟学園がめざすもの」と題して児童自立支援施設が目指すべき事項がまとめられ、施設内外に周知されている。しかし、この基本方針には、施設の関係者すべてが子どものために協力し総力をあげて支援するという「チーム学園」と題された全体目標や、子どものニーズに合わせて専門的な支援を探求・実践していることなど、実際に施設が重点目標として取り組んでいる内容は読み取れず、基本方針と実践との連動性、整合性が図られているとは言えない。
 いずれも職員にきちんと周知されているが、今後、「新潟学園がめざすもの」として示されている基本方針と実際に実践されている重点目標とが整合性・連動性をもって示されることで、目標に向かった組織的な取り組み、施設の実践に対する内外の理解の浸透により一層つながると考えられる。

○子どもが安心感や安らぎ、家庭的な温かさを感じられる環境整備が期待される。
 施設は小高い丘の上に位置しており、広い敷地に校舎、寮舎、体育館、グラウンド、畑があり、敷地内には木々や緑も多く、静かで豊かな自然を感じられる環境にある。校舎棟と体育館は子どもが授業や学習、運動をするに十分な建物であるが、子どもが生活をする寮舎は家庭的な設えは少なく、3人部屋が標準で子どものプライベートなスペースも確保しにくい。子どもの精神的な安定や醸成にはハード面での生活環境も少なからず影響すると考えられる。子どもの状況に合わせて可能な範囲で、プライバシーを確保したり、安心感や安らぎを感じられるような環境づくりの検討が期待される。今後、寮舎の建て替えの計画もあり、このような観点での建物や設備等の工夫に期待したい。

○子ども自身が自己肯定感をより感じられる支援の継続が期待される。
 子どもの中には自己肯定感が低いことから行動上の課題を生じる子どもも少なくない。自らを大切に思えることで他者への思いやりや課題の解決につながることも多い。職員は、子どもとの話し合いや集会等で子ども一人ひとりの長所を認め、良い行動は他の子どもの前で褒めたり、行事等の役割や活動を通じて子ども自身に責任感や達成感を感じる機会を提供するなど、子ども一人ひとりが自らに自信を持てるように支援している。
 新潟県には情緒障害児短期治療施設等の社会資源が不足している実状もあり、様々な課題を抱える子どもが入所している関係で、対応に苦慮することも多い現状がある。今後も子どもの状況やニーズに合わせ、子ども一人ひとりが必要とする支援の探究と提供に向けた継続的な取り組みが期待される。
【5】第三者評価結果に
対する施設のコメント
 今年度、初めて第三者評価を受審しました。今回の評価の過程を通じて職員一人一人が、自らの支援や日頃の業務内容を振り返り、児童自立支援施設に求められている事項や社会的な役割などについて再確認する良い機会となりました。
 今回の受審の経験・結果をさらに活用し、職員の意識向上に努めると共に、評価機関からの評価結果においてご指摘いただいた項目につきましては、計画的に改善に向けた取り組みを行い、今後も支援の質の向上を目指してまいりたいと思います。
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