社会的養護施設第三者評価結果 検索

聖母愛児園

【1】第三者評価機関名 (公社)新潟県社会福祉士会
【2】種別 児童養護施設 定員 36名
施設長氏名 平原 富江 所在地 新潟県
URL http://www.niigatacaritas.or.jp/
【3】実施調査日 2014年04月01日~2015年03月09日
【4】総評 【特に評価が高い点】
○小規模グループケア施設を有し、家庭的な養育環境を整えている。
 聖母愛児園は平成14年に地域小規模児童養後施設「カリタスの家」を開設し、現在は他に「あすなろの家」「たいようの家」をあわせ3つの小規模グループに分け、本園ともに少人数の生活単位での家庭的な養育支援に努めている。特に平成23年に開設された「たいようの家」は新築の建物で、ダイニングキッチンとリビングが一体になった広い1階スペースが用意されている他、採光が工夫された明るい階段の吹き抜けや十分なスペースの個室、庭には様々な植物や果樹、野菜畑など子どもへの思いが込められた設備環境づくりがなされている。また、「カリタスの家」「あすなろの家」も、施設内はリビングスペース、ダイニングスペースも一般家庭と変わらないしつらえとなっており、担当職員と子ども、また子ども同士が交流できる場の確保や個室が用意されており、家庭的な養育支援を行うための環境を整えている。

○施設理念である「愛情に満ちた家庭的養護」を目指し、個々の子どもの気持ちや意見を大切にした養育、支援に努めている。
 施設では、本園、小規模グループケア施設(分園)とも少人数でのグループケアを基本とし、子ども一人ひとりの気持ちや意見を大切にした養育、支援に努めている。本園では、「スペシャルタイム」と称し、夜寝る前に職員が子どもと1対1の時間を持ち、部屋の片づけなどをしながら子どもが自分の気持ちを話しやすい環境をつくっている。日々の生活の中の食事、衣服の購入、各部屋のしつらえ、外出なども子どもの意見や意向を尊重しながら支援している。また、子どもの「問題行動」に対しても「行動問題」と捉え、子どもがその行動にいたった出来事や要因、気持ちに着目し、子どもに丁寧に寄り添い子どもに話しを聴くことでより適切な支援が行えると考え取り組んでいる。

○子どもの権利について職員が学ぶ機会を多く持ち、施設全体で権利擁護に取り組んでいる。
 法人の理念、施設の理念に基づき子どもの権利擁護に施設全体で取り組んでいる。子どもの人権を尊重するためにCAP(子どもが暴力から自分を守れるようになるための人権教育プログラム)を積極的に活用し、職員の階層別研修や定期的に講師を招いてセミナーを実施している。また、全国児童養護施設協議会が策定した「人権擁護チェックリスト」にて施設全体の権利擁護について振り返っている。職員と子どもの日々のやりとり等の養育支援が子どもにとって最善の利益となっているのかの検証は日常のカンファレンスで行われ、園長のリーダーシップのもと、副園長や主任がスーパーバイザーとなり指導、相談の体制が構築されている。副園長、主任は本園、分園の宿直なども行い、それぞれの状況や課題の把握を行うとともにグループ間の連携も図るなどして施設全体の子どもと職員の関係性などにも留意しながら指導を行っている。

【特に改善が求められる点】
○一人ひとりの職員に対する研修、育成計画を明確化することが望まれる。
 研修担当部署を配置して、年間の研修計画が作成されているが、一人ひとりの職員に対する研修計画が作成されるまでには至っていない。個別の研修計画を作成することで一人ひとりの職員が自分の現状を確認でき、段階的に自分の計画等から目標管理がしやすいこと、個人の能力や意向に応じての計画を明確にすることが施設の人材プランにもつながっていくこともあり、個別の研修、育成計画の作成が望まれる。

○職員の就業状況を定期的に把握し、働きやすい環境づくりへの取り組みが望まれる。
 園長は、施設の今後の課題として「職員にとっての働きやすい環境づくり」をあげている。特に、女性職員の多い職場において、仕事と子育ての両立が図れるような仕組みが必要だと感じている。施設の中・長期計画にも「定着率の確保」が課題としてあげられ、長期的にはキャリアアップの仕組みの構築の展望もあり、人事管理、人材育成の観点からも職員の就業状況を定期的に把握し、職員が定着する働きやすい環境へのさらなる取り組みが望まれる。
【5】第三者評価結果に
対する施設のコメント
 法人の理念はキリスト教的人間観により、すべての命は神から愛された賜物であること、一人一人に固有の使命が託されていることを基本理念としている。このことを受けて施設では、すべての子どもの命を尊重し、自己肯定感を育む関わり、自立に向けた生と性の教育、子どもの権利擁護の充実に努めてきた。また、信頼関係、愛着関係の再構築には、人的環境、物的環境の影響力も大きいことをふまえ、より愛情に満ちた家庭的養育を目指し、小規模グループケア―を3ヶ所実施している。
 このたびの第三者評価にあたっては、養育支援全般、家族への支援、自立支援計画.記録、権利擁護、事故防止と安全対策、関係機関連携.地域支援、職員の資質向上、施設の運営まで、全職員が懸命に取り組んだ。全項目にわたり日々の営みをとらえなおす、よい機会になった。結果を全職員で検証し今後の支援に活用していきたい。
 高く評価された3点は今後も継続するエネルギーを維持していきたい。
 指摘事項の一人一人の職員にたいする研修、育成計画を明確化することについては、研修委員会を立ち上げ27年度から実施の予定である。
 職員の就業状況を定期的に把握し、働きやすい環境づくりへの取り組みについては、職員の定着率をあげる業務改善の見直しを図りたい。
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