社会的養護施設第三者評価結果 検索

新潟県新潟学園

【1】第三者評価機関名 (公社)新潟県社会福祉士会
評価調査者研修修了番号 SK16012
S15030



【2】種別 児童自立支援施設 定員 34名
施設長氏名 小嶋 眞 所在地 新潟県
URL http://www.pref.niigata.lg.jp/niigatagakuen/index.html
開設年月日 1909年05月01日 経営法人・設置主体 新潟県
職員数 常勤職員 26名 非常勤職員 4名
専門職員 社会福祉士 9名 保育士 7名
臨床心理士 2名 管理栄養士 1名
教員免許 2名 精神保健福祉士 1名
施設設備の概要 (ア)居室数 2人部屋8 3人部屋6 静養室3 個別対応室3 自立支援室3  (イ)設備等 ホール(食堂)3 浴室3 トイレ3 簡易キッチン3 厨房 
(ウ) 校舎棟 体育館 (エ)
【3】理念・基本方針  児童憲章、子どもの権利条約、児童福祉法等の精神に基づき、入所児童に適切な生活環境を提供しながら、児童が抱える混乱状態、不適応状態を改善し、自己統制力や総合的な生活力を身につけ、地域社会で自立できる力を培うことにより、児童の権利擁護を図る。
【4】施設の特徴的な取組  自然豊かな開放的な環境のもとで、有害な刺激を遮断しつつ、規則正しい「一定の枠」のある集団生活を送る。また施設内の分校と連携し、生活と教育を一体化させ、強固な協働関係の中で一貫したチームによる支援を行う。その結果、児童が「自信(自己肯定感・自己有能感)」と「他者への信頼感」を取り戻し、意欲的な生活態度を持ち、自己の行動に見通しと責任ある態度がとれる力を身につけられるよう支援していく。
【5】第三者評価の受審状況 2017年05月01日(契約日)~ 2018年03月12日(評価結果確定日)
受審回数 1回 前回の受審時期 平成26年度
【6】総評 <特に良いと思う点>

〇「チーム学園」を合言葉として職員一丸となって子どもの支援に取り組んでいる。
 子どもの生活面を福祉的な観点から支援する指導員と、子どもの就学面を支援する施設内分校の教員が子どもの自立に向けた支援を行っている。施設では、全ての職員が子どもの成長や人間形成のために一丸となって支援していくために「チーム学園」と題した合言葉を掲げている。子どもの状況は日々の定時の申し送りや、必要があれば随時、職員間で共有化され子ども一人ひとりに合わせた対応が職員間で協議され実施されている。特に子どもの課題や問題に関しては、指導員と教員が話し合い協議しながら、職員全体の数多の経験も共有して方針を定め、職員全員で子どもを支援していく姿勢や体制が構築されている。

〇子どもとの意見を聞き丁寧に対話することによって、子どもの自立支援に努めている。
 子どもの担当職員を配置して、子どもの目標に向かってしっかりと行動できる手助けをしている。担当職員は子どもが入所した際には、施設の目的や決まりなどを子どもが理解できるまで丁寧に説明している。また、定期的及び随時に担当職員と子どもで、子どもの目標や行動等に対しての振り返りを行い、善い行いは認め、上手くいかないときでも、丁寧に支持的に子どもに関わっている。この取り組みは子どもと職員の信頼関係を強め、子どもに自らの行動等について振り返り確認することで、成長や自立に向けて有効に機能している。
 今回の第三者評価で実施した子どもへのアンケート調査においても多くの子どもが「職員はよいところをほめてくれる」「職員に相談しやすい」と答えている。

〇分校校舎及び寮舎が改築整備され、より家庭的な環境で子どもが生活できるようになった。
 平成28年4月より寮舎が新しくなり、住環境が改善されている。各寮は10~12人と小グループでの生活単位となり、ホールを中心に居室、キッチンなどが配置され、家庭的な生活環境となっている。居住空間は清掃、整理整頓が行き届いており、また、ホールは家庭のリビングのような設えとなっており、子どもたちがくつろげる居心地の良い空間となっている。個室の環境はないが、中学生等の試験勉強、受験勉強の際は勉強できるスペースを確保するなど子どもの状況に応じて配慮を行っている。ダイニングテーブルや家具等も木目調のものを配置して家庭的な雰囲気となるよう配慮しており、浴室は家庭用浴槽となり、子どものプライバシーにも配慮している。食事の場面では、関わる職員や子どものメンバーが固定されているため会話も弾み、学校のことや子どもの趣味や得意なことなど、楽しく食事する様子も見受けられた。

<特に改善が求められる点>

〇小規模グループケアの効果と課題を踏まえた、施設全体の支援の検討が期待される。
 平成28年度の施設改築を受けて、小規模グループケアに取り組んでいる。改築によって職員と子どもの会話が増え、子どもと担当職員の距離感が身近になるなどの効果が確認されている。現在は新棟の生活を始めて2年目であり、子どもと職員とが生活に慣れ、施設の目的を達成するために意欲的に取り組んできたことがうかがえた。しかし、小規模グループケアのメリット(職員との距離、家庭的環境での効果や成長への期待)やデメリット(建物の死角と権利擁護の課題)など「小規模グループケア」であることの特徴を十分に検証する機会をもって支援に活かすまでには至っていない。小規模グループケアの意義と課題を十分に検証して施設設備と支援を連動させた、より効果的な支援のあり方への検討が期待される。

〇子どもの性教育の取り組みの推進が求められる。
 施設の子どもに対する性についての具体的な支援に関しては、施設内での生活上の観点、教育上の観点、また子どもの入所前の体験等、様々な状況がある中でタブー視されてきた部分もあった。しかし、今年度から施設内に「性に関する検討委員会」を立ち上げ、他県の先駆的な施設の取り組みなども参考にしながら、中長期的な計画として分校とも協力をして進めていきたいと検討を重ねている。施設や児童相談所の心理職等と連携しながら子どもの年代や特性に合わせた性教育の推進が求められる。
【7】第三者評価結果に対する施設のコメント  平成26年度以降、2回目の第三者評価の受審でした。受審の過程で、全ての職員が自ら行っている支援の意味や内容を振り返ることができ、児童自立支援施設に求められている役割を再認識することができたことは、とても有意義なことでした。
 支援の質の向上を目指すために、今回の第三者報告の結果を踏まえて自己評価との比較などを行い、重点的かつ具体的に改善すべき課題を全ての職員で共有することで意識改革を図り、計画的に改善に向けた取り組みを行いたいと思います。
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