社会的養護施設第三者評価結果 検索

デュナミス

【1】第三者評価機関名 (特非)よこはま地域福祉研究センター
【2】種別 乳児院 定員 24名
施設長氏名 石橋 由紀 所在地 神奈川県
URL
【3】実施調査日 2014年05月20日~2014年09月11日
【4】総評 ≪≪ 施設の概要 ≫≫
 乳児院「デュナミス」は昭和22年に結成された民間婦人団体「横浜婦人クラブ」により、昭和29年に「横浜婦人クラブ乳児預かり所」として出発した歴史ある施設です。その後、平成13年の改築を機に、ギリシャ語で「可能性」を意味する「デュナミス」と施設名を変えました。これは法人理念「誠の心を大切にし、子どもの可能性を育みます」に由来しています。
 定員は24人。現在新生児から3歳までの子どもたちが、月齢や発達によって2つの部屋に分かれて生活しています。住宅街に位置し、同じ建物には保育園と児童養護施設が併設されていて、3施設とも預かる年齢が学齢前までと乳幼児に特化しています。

≪≪ 特長・優れている点 ≫≫
【 1、職員は子ども一人一人に寄り添い、子どもとの信頼関係を築いています 】
 施設は、担当養育制をとり、特定の大人との愛着関係が築けるようにしています。職員体制の関係もあり全職員で子ども全員を見る体制ですが、担当保育士と個別に過ごす時間を作り行事も行っています。誕生日の外出や遠足に担当が付き添い特別な時間を演出したり、「ふれあい入浴」として一緒に入浴したり、人手が許せば2人で遊ぶ時間を作ったりなどし、個別の関わりの中で、愛着関係を築いています。
 二つの部屋に分かれ集団で生活していますが、遊びや活動などは2、3人の小グループで活動するようにしています。子どもの希望や興味も考慮した様々な活動に落ち着いて取り組めるようにするとともに、保育士との個別の関わりが多く持てるよう配慮しています。子どもたちは、職員に穏やかな言葉で話しかけられ、笑顔で抱きとめられ、落ち着いて過ごしていて、職員との信頼関係が感じられます。

【 2、専門職のスーパーバイズを受け、支援・養育にあたっています 】
 主任保育士、心理療法担当職員、家庭支援専門相談員、里親支援専門相談員などの専門職を配置し、専門的な視点から、子どもの支援にあたる体制を整えています。たとえば、心理療法担当職員は、子どもの日々の様子を観察し、心理的支援が必要と思われる時には対応について保育士へのアドバイスを行っています。また、家族との関わり方については家庭支援専門相談員がアドバイスしています。日常の業務においても、主任保育士だけでなく専門職も保育士の様子を見守り、必要があれば声をかけ、保育士が悩みを抱え込むことがないように相談にのっています。職員間の風通しがよく、気楽に相談できる雰囲気があります。
 また、衣類、物品、写真、食育、おもちゃ・絵本、遊びや「Happy Life for Baby」などの係や担当について、職員が主体的に活動しています。子ども一人一人を思う職員の気持ちは強く、子どもたちがより良い生活ができるよう取り組んでいます。特に「Happy Life for Baby」係は養育・支援の内容が子どもにとって最善の利益になっているか見直し、毎月具体的なスローガンを策定し周知するなどの活動を行っています。

≪≪ 工夫している点 ≫≫
【 子どもと家庭の関係作りを積極的に行っています 】
 家庭支援専門相談員が中心となり、子どもが家庭に復帰し、親子で安定した生活を送るための支援を実施しています。面会・親子外出・一時帰宅等を経験してもらい、その前後の様子を記録に残し、親子にとって常に最善の時期や方法を検討していきます。
 保護者には面会を勧め、親子の時間を多く持つよう働きかけています。面会は担当保育士が立ち合い保育室内で行い、日常の子どもと関わりを持つ中で、子どもの育ちに関する情報を伝えています。職員は保護者と子どもの様子を見守り、保護者が子どもに対してできることをなるべく多く見つけて提案するようにしています。遊び、食事介助、子どもと一緒の入浴等を経験することで、保護者の不安を軽減し子育てに前向きになってもらえるよう支援しています。

≪≪ 今後の工夫や改善が望まれる点 ≫≫
【 運営情報を職員に開示するなど、経営層と職員のコミュニケーションを深めるためのさらなる取り組みを 】
 施設は中・長期計画をもとに、年度ごとに事業計画(運営計画書)を策定し、基本運営方針、年間重点目標などを記載していますが、施設が今後どのような方向で進もうとしているか、そのためにはどのような段階を踏んでいくかを具体的に職員に示すまでには至っていません。中長期を含む事業計画を職員に明示し、運営面で抱えている重点課題について経営層がそれにどのように対応しようとしているか、具体的に職員に説明し、課題を共有するなどの工夫が期待されます。
 また、運営の効率化など経営層の取り組みを職員に説明するとともに、アンケートや面談などで職員の意見を聞く機会を作るなどの工夫も必要かと思われます。双方向のコミュニケーションを深めることで、職員も参画し、組織をあげて重点課題に取り組み、理念を実現されることを期待します。
【5】第三者評価結果に
対する施設のコメント
乳児院には「家庭的養護の推進」など様々な中長期的課題があります。今回の第三者評価で一層の努力が必要とされた“職員と経営層の情報共有やコミュニケーション”は、それらの課題に取り組み成果を上げるためにとても大切であり、早急に対応してゆきたいと考えています。また、直接処遇の担当職員が子ども一人一人と信頼関係を築き、専門職員が支援・養育の場面でその役割を果たしながら、子どもと家庭の関係作りに積極的に取り組んでいる点を評価して頂いた事は、職員一同にとって大きな励みとなりました。

今回の第三者評価の結果を真摯に受け止め、それを糧として、「子どもの最善の利益」のために力を尽くしてまいります。
第三者評価結果はこちら