社会的養護施設第三者評価結果 検索

相模原南児童ホーム

【1】第三者評価機関名 (株)IMSジャパン
評価調査者研修修了番号 SK18077
SK18076



【2】種別 児童養護施設 定員 45名
施設長氏名 渡辺 健司 所在地 神奈川県
URL http://sagamihara-minami.chusinkai.net/
開設年月日 2014年04月01日 経営法人・設置主体 社会福祉法人 中心会
職員数 常勤職員 28名 非常勤職員 6名
有資格職員 社会福祉士 3名 保育士 13名
栄養士 1名 臨床心理士 1名
看護師 1名
施設設備の概要 (ア)居室数 48室 8名×6ユニット  (イ)設備等 各ユニットに、リビング、ダイニング、キッチン、トイレ、風呂、個室の居室、ワーカー室
(ウ) 食堂、会議室、心理室、相談室、家族訓練室、地域交流室、図書室、医務室 (エ) グラウンド、屋上スペース
【3】理念・基本方針 私たちは、私たちの活動する地域社会において、自分や自分の大切な人が抱える心身の障害や生活環境上の問題によって、様々な「不自由」「生きにくさ」を現に経験し、または経験するだろうリスクを有する人々に対して、適切な専門性を担保された養護、介護、及びこれに関連する諸サービスを提供することを通じて、誰もが自分の存在に誇りを持ち、生きる喜びを享受するとともに、自分の家族や隣人の存在を素直に喜ぶことができる社会づくりに貢献します。

1.子どもたちの分離不安をなくし、特定の大人との愛着関係を築くことにより、他者を信頼する基盤を形成します。
2.子どもたちが、力の支配によらない、安心して安全な生活を送ることにより、負の連鎖を断ち切り、将来に渡って、力の支配をしない人間になれるような支援を行います。
3.子どもたちが、愛されている実感がもて、自己肯定感が持てるように支援します。
4.子どもたちが、家庭に帰れるために、児童、保護者に対して最善の支援を行い、親子が「一緒に暮らせて良かった」と思えるような支援を行います。
【4】施設の特徴的な取組 乳児院との合築により、乳児院からの措置変更がスムーズに行う事ができる。
各ユニットのキッチンで調理をしており、家庭的な環境作りに配慮している。
PCソフトによる記録の管理システムを導入しており、施設全体での共有をしやすくしている。
【5】第三者評価の受審状況 2018年08月06日(契約日)~ 2019年03月21日(評価結果確定日)
前回の受審時期 平成27年度
【6】総評 【特に評価できる点】

[1] 「子どもたちが力の支配によらない、安心して安全な生活を送ること」を運営方針に掲げて「サウスピースプロジェクト」に取り組んでいます

 「サウスピースプロジェクト」という安心・安全に向けた取り組みを施設全体で実施しています。プロジェクトでは「暴言・暴力を無くそう」を合言葉に、月1回の子ども面接、性教育、美化デー、子ども部会(子ども主体の自治会)、セカンドステップという5つの取り組みを行っています。各ユニットでは、「言葉遣いに気をつける」「一日一ついいたっちをする」など、プロジェクトに向けた目標を立てています。目標を施設の玄関に掲示するとともに、ユニットによっては、目標達成の表をリビングに掲示して、達成した子どもの欄に、職員が可愛いキャラクターの絵を描くといった工夫も見られます。
 毎月実施する「サウスピース運営委員会」では児童相談所の職員を交えて、子どもとの個別面接の結果を話し合ったり、性に関する学習会を行ったりして、組織全体で取り組んでいます。運営方針である「子どもたちが力の支配によらない、安心して安全な生活を送ること」に向けて、職員と子どもが一致団結して組織的に取り組んでいます。



[2] 個別の時間や個別外出、子ども面接のほか、誕生日のリクエストメニュー、育てノートなど、子どもへの個別のかかわりを大切にする支援に取り組んでいます

 「子どもたちが、愛されている実感がもて、自己肯定感が持てるように支援します」という運営方針を掲げ、子どもと個々に接する時間を持つように努めています。就寝前に30分ずつ順番に個別の時間を設けるなど、ユニットで工夫しながら、個別に話ができるようにしています。また、年1回子どもと職員が一対一で外出できる機会を設けています。行き先は子どもと一緒に決め、水族館や博物館に行ったり、滝を見に行ったり、カフェや外食を楽しんだり、食材を買い出しに行き親子室で一緒に調理を楽しんだりと、その子だけの特別な時間を過ごしています。月1回行う子ども面接は、暴力やいじめ、差別、不適切な対応などの早期発見に役立てています。部屋は基本的に個室になっていて個別に対応しやすいような生活環境を整えています。誕生日には、誕生児のリクエストメニューを提供するほか、個別に作っている育てノートやアルバムには、その子らしさが溢れ出ている写真をふんだんに使い、子どもに一番身近な職員だからこそ知っているエピソードや温かいメッセージを添えています。



[3] 休暇を取得しやすい職場風土が、職員の心身の健康の確保に貢献しています

 職員の働きやすい環境整備について特に気を配っていて、休憩・休暇の取得状況や勤務時間の管理などについて確実に行っています。休暇取得を奨励していて、年次有給休暇は全て使い切る職員が多いといいます。また、7日間の連続休暇を年3回取得できる制度にしていて、多くの職員が年3回取るとのことです。職場全体がそれを当然とする雰囲気のため、休暇取得のためのシフト調整への協力もスムーズに行えているようです。今回実施した職員アンケートの自由記述欄の「特に良いと思う点」の欄には、休暇が取りやすいこと、年次有給休暇を計画的に取得できることをあげる声が散見されました。



【今後の課題と思われる点】

[1] 事業所の規模等に見合った運営の仕組みに整理していくことを検討しても良いように思われます

 当施設の運営の仕組みは実にシステマチックで、大企業にも引けを取らないように感じられます。例えば、業務要領書の理解度評価は年1回全職員を対象に実施し、文書レビューは各部門ごとに毎年実施、態度・マナーに関する自己チェックと上司面談の隔月実施、OJTチェックリストを用いた自己チェックと上司面談を隔月で実施するなどしていて、これはほんの一部分に過ぎません。
 大変よくできた仕組みである一方、仕組みが多過ぎて煩雑になっていないかという心配も持ちます。例えば、不適合サービスリストとヒヤリハット報告とを別々に書かなくてはいけないのは、多忙な現場職員には負担感が大きいのではないかと推測します。
 重複しているものや不必要なものを見極め、事業所の規模等に見合った仕組みに整理していくことを検討しても良いように思われます。



[2] 子どもの権利擁護に関する実践的な知識および意識を一層高めていくための取り組みが期待されます

 子どもの基本的人権配慮などに関する研修は、入職時の新人職員研修の際に、県の社会福祉協議会が作成した養育ブックを基に行っていますが、できれば新人職員に限らず全職員を対象に定期的に実施した方がよいでしょう。どのような行為が子どもの権利を侵害することになるのか、不適切な関わりに陥らないためのヒントや起きてしまった時の対応などが分かりやすくまとめてありますので有効活用していくとよいでしょう。全国の社会福祉協議会が作成した人権擁護のためのチェックリストなども併せて活用すると、より有効かと思われます。
 また、所属団体が制定した職員倫理綱領の唱和を繰り返し行っていくことも、人権擁護の意識を高めるのに有効です。



[3] リービングケア・アフターケアに関する体系的なプログラムの策定のほか、子ども自ら、自立支援計画やアフターケア計画の策定に参画できる仕組みづくりが期待されます

 退所者が次年度増えることを見越して、系列の児童養護施設と「アフターケア委員会」を立ち上げ、アフターケアの仕組みづくりに取り組んでいます。職業指導員を配置し、組織的に取り組むことを予定しており、その実現が待たれます。
 現状の、リービングケア・アフターケアの実践については、子どもの状況に合わせて随時行っています。今後は、自立支援プログラムを策定し、段階的な一人暮らし体験、NPO団体との連携、職業体験の機会、卒園児から話を聞く機会の設定、奨学金など役立つ情報の整理などを検討するとよいでしょう。さらに、子ども自らが、自立支援計画やアフターケア計画の策定に参画できる仕組みを検討するなど、子どもの意識を高めるための取り組みも考えられます。また、アフターケアの記録の工夫や退所者リストの作成、ホームカミングデーの設定などの検討も期待されます。
【7】第三者評価結果に対する施設のコメント  今回の受審は施設が開設して2回目の受審でした。少しずつ施設の体制が整ってきている中で、今回の受審は非常に有意義なものだったと思います。IMSジャパンの審査はまず、スケジュール管理がしっかりとしていて、いつまでに何を準備しておくか、提出期限はいつか、といった事がわかりやすく提示されていて、受審がしやすかったです。
 評価結果についても項目ごとに改善点がわかりやすくまとめられていて、見やすかったです。今後の施設運営に活かしやすい内容になっていたと思いました。
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