社会的養護施設第三者評価結果 検索

相模原南児童ホーム

【1】第三者評価機関名 (株)IMSジャパン
評価調査者研修修了番号 SK2021090
SK2021091
H1801010(東京都)


【2】種別 乳児院 定員 22名
施設長氏名 曽我 幸央 所在地 神奈川県
URL http://sagamihara-minami.chusinkai.net/
開設年月日 2014年04月01日 経営法人・設置主体 社会福祉法人 中心会
職員数 常勤職員 32名 非常勤職員 5名
有資格職員 社会福祉士  4名 保育士 10名
児童指導員 9名 看護師 4名
管理栄養士 1名 公認心理師 1名
施設設備の概要 (ア)居室数 4ユニット(小規模グループケア)6名×4(2名はショートステイ) (イ)設備等 各ユニットに、リビング、キッチン、トイレ、風呂、居室、寝室
(ウ) 1階に、親子室×2、相談室、会議室、地域交流室、医務室、病室  心理室2階に観察室 (エ)
【3】理念・基本方針 (1)私たちの使命
私たちは、私たちの活動する地域社会において、自分や自分の大切な人が抱える心身の障害や生活環境上の問題によって、様々な「不自由」「生きにくさ」を現に経験し、または経験するだろうリスクを有する人々に対して、適切な専門性を担保された養護、介護、及びこれに関連する諸サービスを提供することを通じて、誰もが自分の存在に誇りを持ち、生きる喜びを享受するとともに、自分の家族や隣人の存在を素直に喜ぶことができる社会づくりに貢献します。

(2)私たちの目指す姿
私たちは、常に前向きであり、成長すること、困難に立ち向かうこと、人の幸福に貢献することにこのうえない喜びを感じる職員集団による、調和と活力に満ちた働きによって、私たちが活動する地域社会において、養護、介護、及び関連する諸サービスのもっとも信頼される提供者となることを目指します。

(3)私たちの信念
尊厳・・私たちは、すべての人間は、一人ひとりが「かけがいのない存在」であり、生きる価値を有するということを信じます。
公正・・私たちは、私たちが地域社会において存在するためには、私たちの行う活動が常に公正なものでなければならないと信じます。
有能・・私たちは、私たちの使命を実現するためには、私たちの提供する養護、介護、及びこれに関連する諸サービスをより効果的なものとするために、私たちの能力を常に向上させるために努力することが必要であると信じます。
協働・・私たちは、私たちの使命を実現するためには、私たちが、私たちの活動する地域社会に根を張り、地域社会を育てるとともに、地域社会に支えられるという、協働の精神を重んじるべきであると信じます。
革新・・私たちは、私たちの使命を実現するためには、既成概念にとらわれず、新しい発想のもとで組織運営に取り組む努力が永続的に必要であると信じます。
【4】施設の特徴的な取組  乳児院、児童養護施設合築による特定の養育者との愛着関係や基本的な信頼関係を基盤にして切れ目のない養育支援を行っています。また、小規模ユニットによる、より家庭に近い落ち着いた環境の中で生活できるようにしています。子どもたちが畑で収穫したお芋など、調理の工程の中で、子どもたちが調理に参加することもあります。法人の理念に、「地域社会に根を張り、地域社会を育てるとともに、地域社会に支えられるという協働の精神を重んじる」とあり、子どもたちは積極的に地域のイベント(大凧祭り、案山子祭り等)にも参加しています。また、地域の親子対象に親子サロンの開催や、無料学習会、お部屋の貸し出し等地域の皆様にも積極的に施設開放を行っています。また、中間就労支援や生活困窮家庭の支援も積極的に行っています。
【5】第三者評価の受審状況 2022年04月26日(契約日)~ 2023年03月22日(評価結果確定日)
前回の受審時期 令和元年度
【6】総評
【特に評価できる点】

[1] 乳児院と児童養護施設を合築した建物と一体的な組織運営により、乳児から児童まで切れ目のない支援体制を整えています

 当施設の特長の一つとして、乳児院と児童養護施設の合築があげられます。運営面では、所長や副所長、健康管理課、事務課、栄養管理係は2種別共通という、一体的な組織体制になっています。そのため、乳児院から施設内の児童養護施設に措置変更する際には、じっくり時間をかけて移行を調整することができ、関連部署の職員が一堂に集まり話し合いながら進めています。子どもの状況によっては半年かけて移行したこともあり、移行後も里帰りと称して乳児院に遊びに来たり、誕生日会には乳児院の時の担当職員も招かれて一緒に祝ったりしています。日々の情報共有も盛んで、種別や部署を超えて昼ミーティングを行い、子どもの誕生日も共有しあうことで、みんなが「おめでとう」と誕生児に声をかける温かい文化があります。行事の時には、児童養護施設の子どもが当施設の乳幼児を可愛がる姿が見られるようです。記録システムや感染症対策、避難訓練なども一体的に行い、合築を生かした取り組みを進めています。


[2] 子どもの担当養育者を中心に、専門職がサポートする体制を充実させています

 当施設では、子どもの担当養育者を中心に各専門職はそれぞれの立場でサポートをしています。心理療法担当職員はグループ療育の中で制作・色塗り・はさみ・音楽などを取り入れながら、職員の保育力を高めたいと担当以外の職員の参加を呼びかけることもあります。栄養士は、感染症流行の時期には各ユニットで作っている食事を一手に引き受けました。看護師は一人一人の健康状態を担当養育者と一緒に把握し適切な助言を行っています。家庭支援専門相談員や里親支援専門相談員は保護者や里親と連絡を取りながら、常に担当養育者の意見に耳を傾け一緒に対応していこうとする姿勢があります。第三者評価の職員アンケートでは、部署間の連携がよいことや、一人の子どもに対して各方面から支援をしていることなどについて、施設の特に良い点として複数挙がっていました。良好な職員関係は、「児童、保護者に対して最善の支援を行う」という施設の運営方針を体現させています。


[3] 業務要領書やチェックリスト、児童自立支援計画票などを通して、施設全体の手順や、子ども個々の養育・支援方法などの標準化に努め、標準的な方法の見直しも話し合いながら進めています

 ISO9001(品質マネジメントシステム)を認証し、養育・支援の質の確保・向上に取り組んでいます。「業務要領書」「作業手順書」「品質マニュアル」「養育の質向上マニュアル」などの手順書を作成し、「OJTチェックリスト」「態度・マナー自己評価票」を用いて定期的な振り返りを実施しています。また、個々の子どもへの養育・支援についても標準化を図っています。例をあげると、歩行に配慮が必要な子どもの介助方法など、写真付のマニュアルを用意して職員が同じように対応できるようにしています。児童自立支援計画票には、子どもの特性に合わせた支援方法を記していて、例えばかんしゃくを起こしやすい子どもには「お話上手だから、どうしたいのかをお話して」と声かけをするといった具体的な言葉を明記しています。さらに今年度は、食事を作り始めるタイミングや水遊びの仕方、夜間業務など6つの手順について隔月で話し合うなど、現状に満足することなく職員間で話し合いながら標準化を進めています。


【今後の課題と思われる点】

[1] 補助的な業務を担う非常勤職員やボランティアを増やし、活用度を高めていくことを検討してみてはいかがでしょうか

 当施設は、標準化を徹底した上で、アセスメントを伴う自立支援計画の作成や完全ユニット調理を行うなど、とても丁寧な養育を行っていると感じられます。そのための職員たちの努力も並々ならぬものがあると想像します。丁寧な養育を実践するためにはそれなりの労力が掛かると考えますが、現状では加算分の職員を思うように獲得できていないということがあるようです。常勤職員の採用は法人との絡みもあってすぐに対応できないようであれば、補助的な業務を担う非常勤職員等を増やすなどしてみてはいかがでしょうか。例えば、子育て経験のあるシルバー人材を養育・支援に入れるといった対応のほか、調理補助のパート職員を雇用する、洗濯や洗濯物整理のボランティアに来てもらうなどの対応も考えられます。経験豊富なシニア世代の方々から自然と学べる点もあるかも知れません。 


[2] 求職者の側に立って考えると、現在の職員採用のあり方については見直しが必要なように感じられます

 職員の採用の難しさは福祉業界全体の課題であり当施設もその例外ではありません。現在は、法人として採用していて、募集職種は乳児院も児童養護施設も「児童養護職員」として同じ枠で募集しています。しかし、乳児院と児童養護施設では業務内容が異なる部分が多分にあり、両者を目指す人たち特に学生は大きく異なるように思われます。求職者の立場になって考えると、働きたい職場に配属されない可能性があるというリスクはなるべく避けたいと考えるのが普通でしょう。そうしたことを考えると、乳児院は乳児院職員として募集すれば応募者は増える可能性がありますし、入職した後に「希望職種ではないから」という潜在的理由で辞めることも減らせるかもしれません。人事ローテーションとして児童養護施設への異動が必要なのであれば、しばらく経験を積んだ後に本人の希望を確認して異動してもらうようにすればよいように考えます。採用方法の見直しを図るよう、法人に提案してみてはいかがでしょうか。


[3] 子どもの自主性や自発性を育む一つとして、子どもが自ら選んで遊べる遊具環境の設定が再開できるようになることを期待します

 以前は、手作りのキッチンセットや遊具を棚に置き子どもの視線の先や手の届くところに設定をしていましたが、子どもが棚に上がってしまうことがあったため、安全に配慮しコーナーや遊具設定を控えています。現在は各遊具をプラスチック製のケースに入れ何が入っているのか一目で分かるように表示しています。また、その遊具で配慮をすることがあれば、取り扱いについても注意書きを作り収納ケースに貼付するなどしています。そして、その時々に合わせ職員が遊具を棚から出し提供しています。遊具などの環境設定に困難性はあるかと思われますが、子どもの自主性などを育む一つとして子どもが自ら選んで遊べる環境の設定は大切とされています。子どもの安全への配慮を含めて職員で話し合いを進め、設置場所や玩具の数など、できそうなところから再開を検討してはいかがでしょうか。グループ療育の中で行っているリトミック・制作・ハサミやノリの使用・色塗りなど保育士も参加しながら保育力を高めていますので、今後に期待しています。



【7】第三者評価結果に対する施設のコメント コロナ禍で、何度と予定を変更させていただいたにも関わらず、柔軟に対応していただきました。
総評で、特に評価できる点については、相模原南児童ホームの強みだと思うので、継続し、更に強みを伸ばしていきたいと思います。
また、今後の課題だと思われる点についても、的確にご指摘いただきました。改善できる点については、早速、改善に向けて取り組んでいきたいと思います。ありがとうございました。
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