社会的養護施設第三者評価結果 検索

松柏学園

【1】第三者評価機関名 (社福)大阪府社会福祉協議会
評価調査者研修修了番号 1601A038
SK15180



【2】種別 児童養護施設 定員 43名
施設長氏名 関山 賀世子 所在地 大阪府
URL http://www.shohakukai.org/
開設年月日 1949年05月24日 経営法人・設置主体 社会福祉法人松柏会
職員数 常勤職員 24名 非常勤職員 2名
専門職員 社会福祉士 2名 保育士 6名
社会福祉主事 2名 教員免許(中学校・高校) 3名
栄養士 1名 臨床心理士 2名
施設設備の概要 (ア)居室数 11室 (イ)設備等
(ウ) (エ)
【3】理念・基本方針 【理念】「ひと」は社会的な生き物であるので、幣法人職員は、年齢に関係なくケア対象者ひとりひとりを「ひと」として理解しようと努力し、ケア対象者の心身の健康保持と社会化を促進しようという理念です。

【基本方針】ケア対象者が「自分は、今、ここにいる」と感じ今日と明日のことを思い描いて一日一日を過ごせるよう、バックアップをすることをケア業務の中にいかに取り入れることができるかを考え行動するのが幣法人の職員の仕事に対する方針です。
【4】施設の特徴的な取組 ①高齢者と一つ屋根の下で生活する児童には、児童養護施設の職員以外に三世代以上の年齢幅の様々なひととかかわる機会がある。この建物をひとつの村として児童養護施設の児童にいろいろな距離で「社会化」を促進できると信じている。

②前理事長から借りている土地を法人全体職員と共に整地し、グラウンドとして使用。畑もつくっている。児童が土に触れる機会は多い。
【5】第三者評価の受審状況 2017年02月01日(契約日)~ 2017年07月25日(評価結果確定日)
受審回数 1回 前回の受審時期 平成26年度
【6】総評 ◇施設の概要
 児童養護施設松柏学園は、大正14年に司法省(当時)認可の少年保護団体「松柏寮」として開設され、長きにわたり、児童への支援を実践しています。松柏学園は、社会福祉法人松柏会が運営する特別養護老人ホームエバーグリーンと同一建物内にあり、松柏学園で暮らす児童には、特別養護老人ホームの高齢者と関わる機会が多くあり、世代間交流につながっています。
 北大阪急行線の緑地公園駅から徒歩圏内の便利な立地、またすぐそばには緑豊かな服部緑地もあり、恵まれた環境となっています。

◇特に評価の高い点
毎月の「自己評価委員会」並びに人事考課による養育支援の質の向上に向けた取り組み
 毎月「自己評価委員会」を開催し、第三者評価基準の内容評価項目(A1~40)を用いて、各職員が自己評価を行った上で評価結果を持ち寄り、養育支援の質の向上に向けて検討していることは高く評価されます。また、平成29年度から本格実施した人事考課により、「法人が求める職員像」を改めて全職員に周知することが可能となりました。今後、これらから表れた課題に対して、法人として継続して取り組むことが期待されます。

日常的な地域との交流
 「家庭的養護推進計画」において、「地域支援」の項目を設け、地域とのかかわり方に関する考え方を詳しく定めています。子どもは、地域の文化祭や神社の祭りに参加し、また日常的にも地域に外出し、社会資源を利用しており、学校の友人も、日頃から施設に遊びに来やすい環境にあります。また、施設長は日頃から民生児童委員等の地域住民と交流しており、地域との自然な関わりを継続しています。

性教育の継続的、効果的な取り組み
 平成20年度から性教育委員会を発足させ、幼児から高校生まで年齢や性別に合わせたカリキュラムを用意して性教育を実施しています。性教育委員会で新任職員とともに内容を議論し全職員が足並みをそろえて、子どもたちに命の大切さや人のつながり、自分たちの安心安全、性のリスクも学んでいます。多くの施設で性教育の継続実施は困難を生じている中で、職員の異動があっても性教育を重視し常に内容を見直しながら継続実施していることは高く評価できます。

ライフストーリーワークの丁寧な取り組み
 全ての子どもの誕生日に生い立ちの整理や成長についてライフストーリーワークを行い、個別に子どもと職員の話し合いを実施しています。伝える内容は担当と主任が話し合い、深い内容や伝える範囲は児童相談所と協議を踏まえて決める等、実施の体制も充実しています。効果については、子どもから「すっきりした、安心した」等の報告もあり、職員にとっても普段話せないことをじっくり話せる機会となっています。他施設のモデルとなる取り組みと評価します。

◇改善が求められる点
小規模で家庭的な生活環境の計画的な推進
 ①施設は大舎制で、小規模化等を目指す「家庭的養護推進計画」は検討を重ねて作成されていますが、実現に向かっては課題が多い状況にあり準備が進んでいません。小規模化は行政の大きな方針であり、家庭的な環境づくりは子どものニーズですので、小規模化を進めている施設の見学や施設内での議論を深め、計画の実現に向けて徐々に検討を進めることが求められます。
 ②家庭的な生活環境づくりにはハード面のみならず家庭的なケアの充実が求められます。居室や食堂の飾りつけ等の工夫や高校生の弁当づくりの検討、また現在整備を検討中のリビングスペースが家庭的な安らぐ空間になることが望まれます。
 今後は子どもと現場職員の声を反映しながら、より良い生活環境の実現が求められます。

子どもや保護者に対する事業計画の周知
 児童自治会において、新年度の担当や直近約2ヶ月の行事予定等について周知していますが、事業計画の周知はしていません。保護者に対しても、行事連絡はしていますが、事業計画の周知はしていません。今後は、年度ごとの主な事業計画の内容について子どもや保護者に周知することが求められます。

リスクマネジメント体制の構築に向けた、積極的なヒヤリハット事例収集
 「事故・ケガ・物品破損・ひやりハット記録」により、事故等が起こった際には記録を職員間で回覧し、対応を協議していますが、ヒヤリハット事例の収集が十分とはいえません。様式を簡素化するなどにより、ヒヤリハット事例をさらに積極的に収集し、それを基に改善・再発防止策を検討することが望まれます。

被措置児童等虐待防止の取り組み
 虐待防止については就業規則に明記され、施設内の人権擁護委員会でも話し合いや活動が行われています。国の被措置児童等虐待対応ガイドラインの必要な個所を編集して施設版ガイドラインとして活用していますが、施設の具体的な取り組み内容の不明確さと周知の不十分さがあります。作成されている「危機管理マニュアル」には不適切なかかわりの具体例等の記載がありますので、今後、危機管理マニュアルに通報者保護の規定や検証の仕組み等を加筆することが望まれます。
【7】第三者評価結果に対する施設のコメント 今回2回目の受審となりました。受審に際しては全職員で毎月数項目ずつ評価に取り組み、全員で第三者評価に対する意識を高めていきました。その点では高い評価を頂きましたが、前回の受審時から比べると若く経験の浅い職員が増え、結果に関してはまだまだこれからだと感じています。
 高評価して頂いた事には自信を持って取り組み続けられる様に、改善が必要と指摘された事は真摯に受け止め、出来る事から改善していき、少しずつでも子ども達や職員が良い方向に進んで行ける様に、皆で取り組んでいきたいと思います。
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