社会的養護施設第三者評価結果 検索

宮城県済生会乳児院

【1】第三者評価機関名 (株)福祉工房
評価調査者研修修了番号 SK2021027
SK2022002



【2】種別 乳児院 定員 55名
施設長氏名 遠藤 清之 所在地 宮城県
URL https://miyagi-saiseikai.com/nyujiin/
開設年月日 1973年06月01日 経営法人・設置主体 社会福祉法人恩賜財団済生会支部宮城県済生会
職員数 常勤職員 45名 非常勤職員 2名
有資格職員 医師 嘱託 1名 保育士 27名
看護師 7名 心理師・士 2名
栄養士 2名 調理師 3名
施設設備の概要 (ア)居室数 9室 (イ)設備等 院庭、遊具
(ウ) (エ)
【3】理念・基本方針 〇理念
済生会創設の精神のもとに,児童を取り巻く社会情勢の変化に柔軟に対応し,子どもが大人に守られ,大切にされ,安心して生活できる開かれた安全な養育環境を整え,入所児童の生命と人権を守り,健やかな成長を支援する。
〇基本方針 (施設運営の方針)
素直で,明るく,優しい,健康な子の育成を保育目標とし,
・子どもの個性を尊重し,その人権を守り,最善の利益を追求します。
・子どもの発達段階に応じた生活習慣等の確立を支援します。
・子どもとの愛着関係を育み,豊かな感性を育てます。
・子どもの気持ちをくみ取り,また意見を聞きながら自立を支援します。
・子どもの成長を喜び,再出発(家族再統合、里親養育等)を支援します。
・職員は,子どもとの関係性を常に重視し,向上心,探求心を持ち,柔軟に子どもたちを支援します。
○職員の使命 (望まれる職員像)
(自己研鑽)
・子どもの健全な発育・発達を保障できる安全な養育環境を構築するために必要な価値観・知識・技術の修得に努める。
(入所児支援)
・子どもの生命と人権を守り,安心して日々心健やかに成長するよう支援する。
(地域・在宅支援)
・乳児院の責務を深く認識し,また社会からの要請に応え,広く子育てを支援する。
(綱領遵守)
・乳児院の組織の一員として「乳児院倫理綱領」を遵守し,常に処遇の向上に努める。
【4】施設の特徴的な取組 ・法人では,小児科クリニックを併設し,入所児の日常的な健康管理,予防接種,健診等が医師の協力のもとに行われている。
・乳児院でのショートステイ事業及びクリニックに併設する病児・病後児保育事業により,地域での子育て支援を行っている。
・入所児童に対しては,入所から退所まで一貫した担当養育者のもとでの支援を行っている。
・心理治療担当職員を配置し,さらに,大学の児童精神科医とのSV契約を結び,入所児童の心理面での支援や養育担当職員へのコンサルテーションを行っている。
【5】第三者評価の受審状況 2022年06月01日(契約日)~ 2022年10月25日(評価結果確定日)
前回の受審時期 令和元年度
【6】総評 ◇特に評価の高い点
〇変革への取り組み
 来年度施設の移転を計画しており、これに伴い従来の大舎制から小規模養育への移行を予定している。現在“養育の仕組みを変革する取り組み”が進められ、歴史的に従来から行われてきた仕組みや職員の意識改革が行われつつある。具体的には、職員の役割と責任の明確化や、処遇の透明化、自己点検チェック表の再作成による職員の意識の向上などにより、移転後の家庭的環境の創出に向け、従来の施設の姿からの大きな変革を目指した取り組みが行われている。
〇法人内でのクリニック併設に伴う医療的支援の充実
 「こどもクリニック」が併設され毎月の健康診断や予防接種、感染症への対策、異常時の診察や専門医への紹介、アレルギーのある子どもへの対応など、医療面における即応体制が整っており、安心で安全な支援が行われている。また、医療機関の併設により、医療的援助が必要な子どもの受け入れが行われており、昨年度も延べ75名の受け入れが行われた。
〇子育て支援ショートステイ事業
 地域貢献の一つとして、家庭で一時的に子育てが困難になった家庭のために、子育て支援ショートステイ事業が仙台市からの委託で行われている。昨年度はコロナの影響はあったものの延べ35名の受け入れが行われるなど、隣接するこどもクリニックの行っている病児、病後児保育事業、生活困窮者のための無料もしくは低額な料金での診療などとともに済生会宮城支部として医療・福祉面での積極的な地域貢献が行われている。

◇改善を求められる点
〇大舎制による家庭的環境の不足
 現状では大舎制であるために家庭的環境が不足しており、子どもが自由におもちゃを手にすることができない事、入浴時の環境、昼寝や就寝時の環境など、課題が多く見られる。大舎制であるとともに、設備面での制約から、十分な家庭環境を作り出せない状況となっている。その中で少しでも家庭的な雰囲気を作り出すための努力は行われており、また、来年度の移転時に大幅な改善が予定されており、今後に期待したい。
〇地域との連携強化等
 毎年事業計画に「地域との連携強化」、「目標管理制度の構築」、「児童記録の電子化」が記載され、実行が予定されているが、進捗があまり見られていない面がある。地域との連携に関して、コロナの影響もあるが、地域住民との交流は一部を除いてあまり積極的には取り組まれていない。来年度移転後は、地域連携組織の立ち上げが予定されており、新たな地域の方々との連携の実行が期待される。その他、目標管理に関しては、職員の意識向上や新たな知識習得への意欲向上のためにも早めに取り組まれることが望まれる。電子化に関してはある程度の実行は行われているが、セキュリティ面などを検討し、情報の共有を考慮し、移転後の早めの構築を期待したい。
【7】第三者評価結果に対する施設のコメント ・自己評価結果では、子どもに対する意識も高く、子どもの目線に立った支援等を実行している職員が多かったことが見受けられ、事業者として安心しており、今後とも、更なる質の向上に努めていきたい。
・改善が求められている内容で、家庭的な環境づくりについては、現在実施している施設整備や職員等の確保によって、ここ1年のうちに着実に進めて行く。
・さらには、事業計画やその運営に関わる情報を職員に十分浸透させ、情報の共有化により、職員一人一人が自ら参加した運営体制が構築できるよう進めていきたい。
・3年に1回の第三者評価は、外部の目による貴重な総点検となり、日々子どもの支援に追われ、気づかなかった部分など多々あるとともに移転施設整備に取り組む中で停滞した部分もあるので、今後は、この評価結果を基に、更なる改善に努めていきたい。
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