社会的養護施設第三者評価結果 検索

松本児童園

【1】第三者評価機関名 (株)マスネットワーク
【2】種別 児童養護施設 定員 50名
施設長氏名 竹村 潤 所在地 長野県
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【3】実施調査日 2014年10月01日~2014年12月08日
【4】総評 【特に評価が高い点】
○<地域に根ざした養育・支援>
 昭和25年からの歴史と、都市部近郊の住宅地という恵まれた立地環境から、地域に根ざした養育・支援が行われている。市の民生・児童委員が設置主体で作った施設という特徴から、日常的に地域の民生委員を始め、関係機関との連携が密に保たれ、開かれた施設運営が出来ている。
 子ども達は、「地域の子ども」として、地域住民に愛され守られて生活している。また、地域住民にとっても、地域行事や防災上の点からも「松本児童園」は地域に欠かすことの出来ない社会資源として活用されている。地域住民・地域自治会との良好な関係を維持し、より一層地域に根ざした養育支援を期待したい。
○<食事と学習の支援>
 建物は大舎制の造りではあるが、幼児、各ユニット、グループホームごとに家庭的な雰囲気での毎日となるよう配慮されている。夕食はユニット毎に食を通じたコミュニケーションをとり、和やかに食卓を少人数で囲んでいる。陶器の食器、彩り良い食材での温かい食事が工夫されている。高年齢の子どもの遅い時間にも対応し、年齢やグループごとに施設外での食事を楽しむ機会が設けられている。栄養士が食育計画を作成し、職員全体で食生活に必要な知識や判断力を習得できるように努めている。
 ユニット毎に宿題などにも使える部屋(娯楽室、プレイルーム)が設けられ、中高生は個室を設け、学習ボランティアや塾を活用して基礎学力の定着と学習の習慣化に努めている。進路選択に際しては高校進学を勧め、子どもが自己決定できるように、職員は根気強く一緒に考えている。寄付金(あずさ基金)を活用した経済面での支援体制を整備し、進学後の心強い支援体制の一つとなっている。
◯<外部の検証委員会による苦情対応>
 日常的に子ども達からの意見・要望や苦情などの声に耳を傾ける雰囲気が園内にあり、苦情箱に寄せられた苦情については、年3回の「検証委員会」で第三者委員や地域の民生委員、児童相談所や市の関係部署職員などを交えて処遇を検証し、改善に繋げている。

【改善が求められる点】
●<組織化した改善への取り組み>
 施設のある地域の住宅化、児童福祉に対する関心の高まり、そして、情報化社会での新たな犯罪や思わぬトラブルへの遭遇など、施設や子ども達を取り巻く環境や社会情勢が日々変化してきている。このような状況で起こる新たな問題や課題に対し、施設の持つ良い伝統を守りながらも、積極的且つ迅速に対応が必要になっている。担当者のみならず、全職員の参画による改善とその周知徹底、それを機能させる取り組みに期待する。
●<標準的実施方法の文書化>
 職員の幅広い年齢層や多様な価値観に接することは、子どもにとって有益な環境である。しかしながら、養育に関するマニュアルや職員への周知が十分とは言い難いことにより、職員間で対応や基準に細かな食い違いが出てしまっている。また、子どもの抱えている課題の複雑化や困難化に伴い、子どもの状態に応じて柔軟な対応も求められている。管理運営規程を基盤とし、ユニットごとに業務手順やマニュアルは作成されている。しかし、安全性、プライバシーの保護、設備等へ留意点も含めて、養育や支援の内容ごとに標準的な実施方法の文書化が養育・支援の質を担保するために有効と思われる。
●<自立に向けての支援>
 子ども一人一人の個性を尊重し、受容的・支持的な態度で子ども達に接している。しかし、子どもの発達段階に応じて、自立に向けて経済観念が身につくような生活プログラム、自立を見据えての食育は不十分である。さらに、成長の過程を振り返る機会を持つことは、自己肯定感を育むことや自分らしく生きる力につながってくる。18(20)歳から社会に出て行かなければならない現実に向き合った時、自立に向けた「生活力」や「精神力」などの「生きていく力」の育成に、一層の取り組みが必要である。
【5】第三者評価結果に
対する施設のコメント
 これまで自己評価を行う中で、評価項目を念頭に置きながら施設運営をしてまいりました。
 自己評価では評価が低かった項目が評価されている部分もあり、評価観点についての再認識をいたしました。
 評価を得た分野についてはさらに深化させるとともに、改善の指摘を受けた点についてはその実施の可能性を研究して、改善に繋げてまいりたい。
 もっと余裕をもって臨めればなお良かったのですが、第三者評価を受けたことは、職員の意識改善の上でも有益でした。
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