社会的養護施設第三者評価結果 検索

春風寮

【1】第三者評価機関名 セリオコーポレーション(有)
評価調査者研修修了番号 S15123
H28-c015



【2】種別 児童養護施設 定員 35名
施設長氏名 村松 隆之 所在地 静岡県
URL http://www.shumpu.or.jp/
開設年月日 1948年12月01日 経営法人・設置主体 社会福祉法人春風寮
職員数 常勤職員 22名 非常勤職員 4名
専門職員 児童指導員 5名 保育士 9名
家庭支援専門相談員 2名 里親支援専門相談員 1名
心理療法担当職員 1名 栄養士 1名
施設設備の概要 (ア)居室数 9室(男子)、9室(女子) (イ)設備等 居間、プレ-ルーム、食堂、厨房、学習室、図書室、地域交流室
(ウ) 事務室、面接室、医務室、浴室、洗面所、トイレ、洗濯室 (エ) 多目的広場、グランド
【3】理念・基本方針 理念:
・家庭環境に恵まれない児童や様々な問題を抱える児童には、愛情とよりよい環境を与え、心身ともに健やかに成長、発達していくよう見守り支援する。
・児童が、寮に入所後、様々な生活場面を体験していく中で、自分の課題を見つけ、解決を目指すことにより自立への道を進んでいくよう支援する。
・児童の安全・安心を確保し、あたりまえの生活を通じて、一人ひとりの児童が、身体的、精神的、社会的に成長、発達できるように支援し、人間的成長を総合的に促進する。
・入所してきた子どもたちが、安全に安心した生活を営むことができるよう、子どもの生命と人権を守り育む。
・子どもの意思を尊重しつつ、子どもの成長と発達を育み、自己実現と自立のために継続的な援助を保障する養育を行い、子どもの最善の利益の実現を目指す。

基本方針:
・子どもの存在そのものを認め、子どもが表出する感情や言動をしっかり受け止め、子どもを理解する。
・基本的欲求の充足が、子どもと共に日常生活を構築することを通してなされるよう養育・支援する。
・子どもの力を信じて見守るという姿勢を大切にし、子どもが自ら判断し行動することを保障する。
・発達段階に応じた学びや遊びの場を保障する。
・秩序ある生活を通して、基本的生活習慣を確立するとともに、社会常識及び社会規範、様々な生活技術が習得できるよう養育・支援する。
【4】施設の特徴的な取組 <人的サービス面>
1)職員を増員し、男女ユニット化し活動することで、より細やかな対応に繋がっている。子どもたちにとって、自分の担当職員という意識、グループ集団の担当という意識をしてもらえることで、今まで以上に、大人との信頼関係が強まることを期待している。
2)平成29年度から、毎月定例の子ども会議を男女ユニット別で開催している。子ども集団の特徴で男子は全員で、女子は中高生、小学生のグループに分けて実施している。職員から必要な伝達がスムーズになった他、子どもたちが自分で考えて、意見・要望を言いやすいように工夫している。意見箱の設置について、従来の1か所から5か所に増設した。子どもの要望の中には、自分の赤ちゃんの時のことを知りたいという子どもがいて、育ててくれた乳児院に連絡をして、本児を連れて訪問し当時のことを知る職員から話を聞くなど生い立ちを知る機会にも努めている。
3)寮生活を通して基本的な生活習慣を身につけるように努めている他、職業体験としてのCCP(キャリアカウンセリングプログラム)事業やリービングケアとして、就労等で退所予定の子どもには、別棟2階の居住設備を利用し自活に向けた体験をする機会を設けるなど、将来の社会的自立に向けた取り組みをしている。併せて、退所し一人暮らしをはじめた子どもには、定期的に連絡をしたり訪問するなど、生活の安定に向けたアフターケアを行っている。
<設備・環境面>
1) 平成27年度には、中庭、通路舗装、駐車場舗装など敷地内の整備を行った。それを機に、建物内外の環境美化も大幅に行った。事務所機能の改善、内外倉庫の整理等 収納の改善、和室等のパブリックスペースの多目的利用等を行った。中庭の改修では、今までは砂利だったが、土を入れて安心して遊べる場とした他、花壇を作ったことで子どもたちの心が和んだと感じる。子どもたちの生活環境を整え清潔に保つことはとても大事であり、子どもたちが安心安全な生活ができるように努めている。
2) 平成26年度、中高生用の個室にベッドを入れて自分の部屋という意識を醸成させた。平成29年度、小学高学年・中学生用の二人部屋も和室から洋室に改修してシステムベッドを入れる計画となっている。寮生活は、集団生活ではあるが思春期の子どもたちには個人のプライバシーを大切にするように配慮している。
3)平成28年度、男女ユニット運営のために、女子棟職員ステーション増設、廊下の間仕切りを行う等、子どもたちが少しでも落ち着いて生活できるように配慮した。併せて、防災対策の一つとして、施設の入口(南側・北側)2か所に防犯カメラを設置し、不審者対策を行った。

【5】第三者評価の受審状況 2017年06月01日(契約日)~ 2018年03月11日(評価結果確定日)
受審回数 1回 前回の受審時期 平成26年度
【6】総評 ◇特に力を注いで取り組んでいる点
◆国が示す、将来の児童養護施設に求められる小規模ケアを見据え、現状における対策の一つとして本年度から、子どもを男女2グループの「ユニット」に分け、各々のユニットにグループ長としてベテラン職員を配置している。この体制により、小規模なグループ内において常に身近で過ごしている子どもと職員の間に、今までにも増して信頼関係が構築される効果が期待されている。また適度な人員構成となるユニットごとに、毎月「子ども会議」を開催することで、子どもが主体的に考え、自らの意見・要望等を積極的に表現することにつながっている。

◆子どもには、施設の生活を通して基本的な生活習慣を身につけられるように配慮し、年齢に応じて様々な体験ができるような支援を実践している。加えて、将来の社会的自立に向けたリービングケアの実施や、退所後の生活安定のためのアフターケアなどにも、きめ細かく配慮している。

◆同法人の運営する「児童家庭支援センターはるかぜ」や「相談支援センターあおぞら」との連携により、地域の子育て支援やショートステイ事業、里親支援事業などに関し、施設の専門性を活かして、可能な支援活動を行っている。

◇改善の取り組みが求められる点
◆子ども会議や個別面談、意見箱など、子どもの意向を確認する複数の機会が設けられているが、これらの取り組みから得られる意見・要望等を、養育・支援に反映する仕組みの整備が十分ではない。子どものニーズ等を確実に反映できる、組織的な仕組みの確立が求められる。

◆安心・安全な養育・支援の実施を目的とする、リスクマネジメントに関する職員の研修計画の策定や、研修の実施頻度等において課題がある。また様々なリスクを評価・分析し、全職員の共通意識の下で安心・安全に取り組む、リスクマネジメント委員会等を設置するなどの、リスク管理の体制が十分ではない。リスクマネジメントに関する配慮の行き届いたマニュアルの整備と、それにもとづいて機能する組織的な仕組みの構築が求められる。

◆養育・支援の実践に関して、ベテラン職員の経験による対応で、きめ細かい支援が行われている。他方、各々の養育・支援に関するマニュアルの整備や、一人ひとりの職員に対する研修計画等、組織的かつ計画的に実行されなければならない、標準的な実施方法の確立に向けた対策が十分とは言えない。養育・支援の標準的な実施方法は、職員の違いによる支援水準等の差異を極力なくし、一定レベルの支援を担保するために必要なものである。そのうえで一人ひとりの子どもへの個別的な養育・支援(自立支援計画)と相互に補完し合うことが求められている。そのことから、標準的な実施方法は養育・支援全般にわたって定めることが必要となる。多くは各々の業務に対応したマニュアルや業務手順書等で示されているので、それらの具体的内容等を再確認し、修正・補完するなどの取り組みが求められる。
【7】第三者評価結果に対する施設のコメント  調査では、お世話になりました。今回は、2回目の第三者評価の受審でした。前回の評価を受けて、寮としてできることから取り組んできました。生活環境の面では、子どもたちが安全安心な生活ができるように改善に取り組みました。併せて、将来の小規模ケア化に向けて、職員のスキルアップに努めました。平成27~29年度、小規模ケアを実践している県外施設に職員2名を1ケ月の派遣研修を実施し、先進的な取り組みをしている3施設に全職員がテーマを持って視察し情報収集を行うなど、少しずつですが、将来の体制整備に向けた取り組みをしているところです。 また、平成29年8月の『新しい社会的養育ビジョン』で示された内容も精査し、今後の運営に反映していきたいと考えています。
今回の第三者評価では、寮としての取り組みが向上していると評価されたことも多かったのですが、まだ、取り組みが十分ではないと求められたこともありました。
それらを受けて、平成30年度は、①施設運営の質の向上、②養育の質の向上、③職員の資質の向上を念頭に、子ども一人ひとりのための養育支援の更なる充実を図りたいと考えています。特に、個別ケアの充実、子どもたちの意見を汲んだ支援等、職員のチームワークで、より質を高めた養育に取り組みたいと考えています。
併せて、組織力を高めるため、職員一人ひとりが、目的・目標をもって養育支援に臨み、適時、振り返りをして、到達状況を確認できるようなシステムの構築を図りたいと考えています。
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