【1】第三者評価機関名 | (特非)アスク |
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評価調査者研修修了番号 | SK18032 SK18035 T08004 |
【2】種別 | 児童養護施設 | 定員 | 36名 | |
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施設長氏名 | 田仲 輝男 | 所在地 | 栃木県 | |
URL | https://www.nogihosp.or.jp/facility/aristoteles | |||
開設年月日 | 2012年09月01日 | 経営法人・設置主体 | 社会福祉法人延寿会 | |
職員数 | 常勤職員 | 27名 | 非常勤職員 | 2名 |
有資格職員 | 社会福祉士 | 5名 | 認定心理士 | 1名 |
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看護師 | 1名 | 教員 | 4名 | |
保育士 | 12名 | 児童指導員 | 4名 |
施設設備の概要 | (ア)居室数 | 年長男女児用居室 24室 幼児用和室 2室(12名分) ショートステイ用居室 6室 | (イ)設備等 | 各児童棟には広い地下室が設けられており、各種物品や非常用の備蓄品を保管している。 |
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(ウ) | (エ) | |||
【3】理念・基本方針 | 【理念】 「思いやりのある子ども・礼儀正しい子ども・力強く自立できる子どもの育成」に努め、社会的に自立を目指します。 【基本方針】 「安全と安心の生活」 朝は明るい「おはよう」の声掛けで目覚め、温かいご飯とみそ汁が待っている。良いことをすれば褒められ、悪いことをすれば叱られる。 夜は静かな部屋で暖かい布団に包まれて眠る、そんな日常を作ります。 「育まれる豊かな心」 職員や仲間と共に仲良く遊び、楽しく学び、時に悲しみ、悩む。 そんな日々の暮らしや四季折々の行事を通して豊かな感性と社会性を育みます。 「夢と希望の未来」 安心安全な生活の中で自分を見つめ、理解し、将来について子どもたちと共に考えます。そして自分の夢を持ち、進学や就職といった具体的な未来を描けるよう支援します。 |
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【4】施設の特徴的な取組 | ①完全ユニット制 1棟2ユニットとし、1ユニット定員6名の少人数で小学生以上には個室を用意し家庭的な雰囲気を大切に生活している。 ②職員手作りの食事の提供 調理員が献立を考え、棟(2ユニット)毎に職員が分けられた食材を使い三食とも調理している。児童が入所する際はウエルカムメニューで出迎え、誕生日にはその子のリクエストメニューやケーキを準備してお祝いをしている。 ③個別外出 担当職員と個別に外出をし、信頼関係を築く。 ④アフターケアの実施 職業指導員を中心に退所した児童と連絡を取り合い、必要があれば家庭訪問や個別に話をする機会を設ける。 |
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【5】第三者評価の受審状況 | 2020年07月08日(契約日)~ 2021年01月18日(評価結果確定日) | |||
前回の受審時期 | 平成29年度 | |||
【6】総評 | ◇特に評価の高い点 ○適切な自立支援計画の策定と評価・見直し 自立支援計画は、学校の入学や進級に合わせ年度初めに策定されている。担当者は、年度当初は子どもの環境が変わることに配慮し、環境に慣れた時期に策定している。また、子どもの意向を尊重し、学校・認定心理士・里親支援専門相談員・児童相談所・医療機関・保護者などの意見を反映して策定している。この自立支援計画は、「棟会議」で話し合いをした後、「自立支援会議」で施設長をはじめ全職員の意見を反映して最終的に決定しているため、全職員で内容を共有し職員間でぶれのない養育・支援の実施が図られている。これらの自立支援計画は、年2回(9月・3月)評価・見直しをし、記録している。毎月の「自立支援会議」や「棟会議」でも、子どもの状態や支援方法など、必要な見直し等を行っている。支援困難なケースについても、子どもの状態を把握し、全職員が適切で統一した養育・支援が行われるよう取り組んでいる。 ○入所前から退所後にも継続する子どものニーズに沿った個別支援の実施 施設では、「子どものニーズに沿った養育支援の実現」を目標に掲げており、常に子どもが何を考え、どう思っているかをアンケート調査や面接を行って把握している。また、毎日の就寝前にそれぞれの子どもに10分程度の時間を取って話を聞くなどの取組を行い、子どもに寄り添った個別支援に努めている。入所前には何度か担当となる職員が子どもと会い、子どもも数回アリスとテレスを訪問して施設に馴れてから実際の入所となる。入所後、元の施設の職員が訪れた時の雰囲気や子ども本人の態度などから、アリスとテレスの支援に間違いがないかを確かめている。退所に向けて、今年度から一人ひとりの性格や能力に合わせて一対一の施設独自の自立支援プログラムを実施し始めた。退所後も電話連絡や訪問活動を通して状況を把握して相談に応じ、必要があれば支援を実施し子どもの自立の後押しをしている。 〇職員一人ひとりの質の向上に向けた教育・研修の実施 事業計画に研修の方針が示されており、実際の運営(施設外研修・施設内研修・記録・報告書取りまとめ・伝達研修等)は研修委員会が実施している。職員一人ひとりの過去の研修履歴を管理し職員個別の専門資格・研修履歴等を考慮して、全国児童養護施設協議会・栃木県児童養護施設等連絡協議会・子どもの虹情報研修センター等の階層別研修・職種別研修・テーマ別研修に積極的に参加させている。また、非常勤職員も研修に参加している。施設内研修には全ての職員が参加し、実施の都度参加者にアンケート調査を行い、評価と見直しをしている。新任職員研修についても見直しをし、プログラム内容を充実させている。月に2度、スーパーバイザーの職員が参加する「棟会議」を開催しており、その中で小グループのミーティングを行い、スーパーバイザーは若い職員の意見を聞いたり質問に答えたりして、職員の専門性や組織力の向上に取り組んでいる。 ◇改善を求められる点 〇総合的な人事管理の体制整備によるキャリアパスの明確化 人事評価に関しては、「等級別標準職務表」等はあるものの、職員の職務遂行能力や成果・貢献度等を評価する人事評価は行われていない。施設長は職員と定期的に面談し、職員の希望等を聞いて働きやすい職場づくりに取り組むとともに、過去の処遇の水準や他の施設の水準等から処遇改善の必要性を認識し、毎年法人本部と改善策を検討・実施しているが、職員アンケート結果からは職員処遇面について課題があることが窺えた。離職率が高く職員が定着しないため、勤続年数1~2年の職員が半数を占めているのが現状である。職員へのヒアリングから、職員は子どもを尊重した養育・支援に意欲を持って取り組んでいることが窺える。これらの職員が自らの将来を描くことができるような仕組みづくり=キャリアパスの明確化や、働きやすい職場環境の整備に向けた更なる改善の取組が望まれる。 〇子どもに関する記録の管理体制の強化 子どもの日々の記録はパソコンのネットワークシステムを利用して記載している。また、日誌をはじめ通院の状況、学校や児童相談所等の関係機関との連携状況もパソコンで記録されており、全職員が閲覧できるようになっている。パソコンネットワークを利用することで申し送り等もスムーズに実施でき、職員の負担軽減になっている。職員は個人情報保護に関する規定については理解しているが、研修等は実施されていない。また、子どもの記録の保管・保存・破棄についての規定も定められていない。年が経過するにつれ保管書類が多くなってきており、退所した子どもの記録も多くあるため、早急に個人情報保護に関する研修の実施や、子どもに関する記録の管理規定を策定することが求められる。 〇マニュアルの整備と標準的な実施方法の活用 職員は、日常生活の中で子どもの気持ちや意見に耳を傾け、物事を決める際にも子どもの意見を尊重するなど、日ごろから子どもの気持ちを汲み取りながら支援にあたっている。しかし、在職年数の短い職員も多いことから、職員アンケート結果からは子どもを尊重した養育・支援の実施について共通理解を持つための取組が不十分と感じていることが窺える。施設では、標準的実施方法にあたる「援助マニュアル」は作成されていたが、子どもの養育・支援には生かされていなかった。そのため、今年度に「アリスとテレス養育支援マニュアル」として作成し直した。しかし、職員全体に周知するまでには至っていないことが職員アンケート結果からも窺える。年度末に「アリスとテレス養育支援マニュアル」の見直しが予定されていることから、施設の標準的実施方法が確立されて全職員が理解し、子どもの養育・支援に生かすことを期待したい。また、プライバシー保護に関するマニュアルをはじめ未作成のマニュアル等の整備も求められる。 |
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【7】第三者評価結果に対する施設のコメント | 今回の受審により改めて当施設の強み、弱みを確認することができました。今後は指摘された事項の改善、特に職員定着化、地域小規模施設開設、施設の高機能化に向けて法人本部と共に具体的な計画を立てていきたいと考えています。 |