社会的養護施設第三者評価結果 検索

くすのき

【1】第三者評価機関名 (社福)和歌山県社会福祉協議会
評価調査者研修修了番号 SK15213
17-28



【2】種別 児童養護施設 定員 18名
施設長氏名 久保 仁藏 所在地 和歌山県
URL
開設年月日 2010年06月01日 経営法人・設置主体 社会福祉法人 真寿会
職員数 常勤職員 13名 非常勤職員 5名
専門職員 保育士 6名 児童指導員 5名
調理師 1名
施設設備の概要 (ア)居室数 児童居室18室、ショートステイ 2室 (イ)設備等 全室個室整備
(ウ) (エ)
【3】理念・基本方針 (1)理念
大地に太く根を伸ばし、天に向かって大きな幹に
風に負けぬ 人を慈しむ 大きなくすのきに育て

(2)基本方針
子どもの育ちの拠点として、豊かな心をもち、たくましく生きる力を育む調和のとれた養育施設を目指す。
【4】施設の特徴的な取組 理念にもある「大地に太く根を伸ばし、天に向かって大きな幹に、嵐にも負けぬ人を慈しむ、大きなくすのきに育て」虐待を受けた子どもや、何らかの事情により実の親が育てられない子ども達を育む施設の想いが感じられる。施設名称の「くすのき」が玄関前に手植えされており、その育っていく樹木を見ながら子どもたちは毎日の生活に勤しんでいる。施設「くすのき」の環境は、自然豊かな山里の小さな集落の中にあり、子どもたちは家族的な交流に恵まれている。しかし、学校などの通学にも不便が感じられるために事業計画の第一次で車で約30分降りた市行政局の近くに分園「明日の樹」を開設した。事業計画では、第二次、第三次と小舎制に向けての計画があり、子どもたちの社会性を養うための前向きな施策が進められている。
【5】第三者評価の受審状況 2017年06月29日(契約日)~ 2018年01月16日(評価結果確定日)
受審回数 1回 前回の受審時期 平成26年度
【6】総評 《特に評価が高い点》
1.子どもの尊重と最善の利益の考慮
 社会情勢を見据え中・長期計画を作成し、児童の健全な発育発達に帰するため、小舎制に向けて着実に取組んでいる。
日々の養育支援については、担当職員が丁寧なアセスメントを実施し課題を抽出し、子どもとともに個別支援方針及び個別支援計画を作成している。また、年に2回定期的な評価・見直しを実施することで、日々の養育に反映されている。児童自立支援計画書はジェノグラムや成育歴等の基本情報やアセスメント表と目標に対する具体的取組方法が明示され、養育内容の理解と周知を図り、職員は真摯に実践に取組んでいる。

2.子どもの意向や主体性への配慮
 子ども達自身が生活意識向上に向けて自主的に取組めるよう小、中、高生全員でチーム分けした「子ども会」を通して、施設で生活する上での問題点や希望、提案等自分たち自身の生活について話し合う機会を持っている。また、様々な施設の行事や学校の行事、地域の行事等への参加を通して、社会性を養い自立に向けた生活の構築に向けた支援を行っている。

3.性に関する教育
 年齢や発達段階に応じた性についての正しい理解を促すために性教育計画を策定し、職員の研修計画に性教育についての理解を深めるための項目を位置付けている。いのちの教育の一環として、児童一人ひとりの性に関する課題を抽出し個別計画を立案したうえで個別指導も実施している。

4.第三者評価への取組
 今回の受審は2回目であるが、施設長はじめ全員で自己評価を実施し養育・支援の課題を明確にしてサービスの質の向上と改善に向けて真摯に取り組む姿勢を確認できたことは高く評価できる。

5.専門家によるスーパービジョン体制の確立 
 職員や子供が必要に応じて臨床心理士の面談を受ける等の体制を確立し、職員の養育・支援の技術やスキルの向上に向けて取組んでいる。

《改善が求められる点》
1.人事考課制度に関する取組
 「職員を育てる仕組み」として、同一の評価スケールに基づいた明確な評価基準等を定め、職員が獲得すべき望ましい技術やスキルの習得に向けて、今後、人事考課の実施が期待される。基幹職員の資質の向上等人材育成に向けて内部研修はもとより外部研修も積極的に活用されることを期待する。

2.さらなるマニュアルの作成や見直しとその活用
 児童養護施設ハンドブックについても、全職員で読み合わせを行うことで職員の考え方や方向性を一層統一できるので、さらなる活用を期待する。被措置児童虐待の届出・通告制度のマニュアル、その他のマニュアルや規程など、今後必要と予測されるマニュアル等はある程度作成されているが、定期的な内容の見直しを期待したい。

3.安全管理について
 危機管理マニュアルに規定をし、ヒヤリハットシートや事故報告の様式は作成されているが、分析を行い再発予防に向けたフィードバック体制が明確ではない。ヒヤリハットシートに基づき、安全管理委員会で再発予防に向けて十分に議論し、職員、子どもにフィードバックするなど、事例収集を行い記録の集積と活用に向けた取組を期待する。
【7】第三者評価結果に対する施設のコメント  開設して8年目という新しい施設で、何事においても積み上げてきた実績が乏しく、日々試行錯誤の連続である。そんな中、施設で大切にしてきたことは、児童との支持的・受容的な関わりを基本に、ひとり一人がチームの一員としての自覚を持ち、「組織力で養育をしよう」を合い言葉に取り組んできた。
 今回のいろんな視点からの評価を受ける中で、養育指針や安全管理、人材育成等々でのマニュアルが表面的で職員ひとり一人のものとして定着していないなどの弱点が明確になった。また、児童の発達や社会の変化などにより、今までのマニュアルがそぐわなくなっているなど、客観的な視点からの見直しの必要性についても指摘を受けた。
 第三者評価を実施したこのタイミングが見直しの最適期と捉え、早速職員全員が指摘されたことを共有すると共に、新たな運営指針や養育指針を策定し、その視点でこれまでの取り組みの評価を実施するなど、来年度に向けた事業計画の作成に着手しているところである。
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