社会的養護施設第三者評価結果 検索

平安徳義会養護園

【1】第三者評価機関名 (一社)京都ボランティア協会
評価調査者研修修了番号 S25041
S25042
SK18218


【2】種別 児童養護施設 定員 85名
施設長氏名 山下 恭生 所在地 京都府
URL
開設年月日 1890年02月11日 経営法人・設置主体 社会福祉法人平安徳義会
職員数 常勤職員 45名 非常勤職員 8名
有資格職員 社会福祉士 6名 保育士 16名
臨床心理士 2名 管理栄養士 1名
調理師 4名 医師 1名
施設設備の概要 (ア)居室数 10ファミリー (イ)設備等 各ファミリー(リビング・洋室・和室・キッチン・シャワー・洗面所・トイレ・洗濯室・風呂)
(ウ) (エ) グランド・食堂・管理棟・駐車場・多目的ホール
【3】理念・基本方針 ・施設での暮らしの主役は“こども”である
・何人も主役である“子ども”の自立を支援する
・“子ども”自らが愛されていると実感できる処遇を心がける
・児童福祉の先駆的役割を担い、制度に先んじて実践を行なう
【4】施設の特徴的な取組 家庭的な雰囲気における生活体験や、地域社会との密接な関わりなど豊かな生活体験を営むことが出来る「地域小規模児童養護施設」を一施設6人の定員で本園敷地外に4箇所開設されると共に、本体施設も生活棟6ユニットのオールユニット化が完成し8名の定員で年齢に応じて部屋を使い、広いリビングは皆が集えるスペースになっています。
4箇所目の地域小規模児童養護施設「青雲塾ホーム」は駅近くのビルの3階部分を賃貸し、部屋数は5部屋あり、それぞれにトイレ、洗面、洗濯機、ミニキッチン、ベランダを有しており、社会自立に特化した生活を目指し高校生5人が生活しています。措置延長やアフターケアの取り組みに力を入れられ、現在大学に通う方や専門学校で資格を取得する方など、一人ひとりの子どもと向き合い意向に添った支援に努められています。
【5】第三者評価の受審状況 2020年12月10日(契約日)~ 2021年10月27日(評価結果確定日)
前回の受審時期 平成30年度
【6】総評 法人は明治23年2月に孤児院として寺町通四条南大雲院に創設し、明治36年に岡崎に移転、昭和27年に社会福祉法人の認可を得て、昭和41年に大原野の現在地へ乳児院と養護園が移転され、令和2年には130年の節目を迎えています。国の政策の移り変わりとともに地域小規模養護施設と本体養護園内で10箇所の小規模グループケアがを実施され、小規模での子どもの養育の実現をしています。国の方針の変遷とともに大舎制→小舎制→里親委託へと移行していき養育環境の大きな変化が求められています。養護園のモットーが「主役である子どもの自立支援」をうたい子どもたちの生活力の向上を目指して、高校卒業後は上級校への進学で資格取得を目指す支援をしています。
《特に評価の高い点》
【権利条約・児童福祉法に沿った子どもを尊重した取り組みの実践】
子どもの意向を尊重した日々の関わりや支援の仕方は、モットーや重点目標を方針として、「倫理綱領」「職員の心得」「生活の留意点」で明確にし、委員会組織や会議の持ち方、運営の仕方を明確にすることで意識の統一が図られています。居室では子どもたちはリビングのテーブルに向って宿題をしたり、職員に横についてもらい励まされながら宿題をするなどが習慣化しています。調査員が訪問すると自分の持ち物を出してきて枕や布団を見せてくれるなど、短時間の間に子どもたちはそれぞれに自分らしさを出している姿に、職員に丁寧に関わられ大切にされて、当たり前の生活を日常としているのを見せていただきました。
【嗜好アンケートの実施】
食に関する、子どもたちの好みの調査を行い、分析・評価して子どもたちの満足できる食事に近づけていくことや人気のある料理を行事食を含めて取り入れることの検証をされています。栄養士が中心になり、食育計画を立てて、食への方針を定め、食べることへの啓発も含めおたよりを毎月発信されています。写真やイラストを入れルビを振り、読みやすくされている「Hugくみ つうしん」を見せていただきました。

【余暇活動の充実】
職員と子どもが同じ目標に向かって取り組み、集団の中での協調性、思いやり、精神面を養い、日常生活での情緒面の安定をつなげ、子どもの心身の健全な発育を促すことを目的にたくさんの余暇活動を計画して、子どもが主体的に参加できるようにしています。主な余暇活動としてはフットサル(小)・フットサル(中)・高学年クラブ(児童館の活動)・ダンス(発表会の場も持っている)・ピアノ教室・平安タイガース(OB・高校生・職員を対象とし、野球連盟に所属)などで充実させています。
《改善が求められる点》
【環境整備】
子どもに知らせたいことを「「Hugくみ つうしん」「お知らせ」「注意事項」などを部屋の掲示板に掲示しています。
子どもには説明してから、掲示しているとのことですが、掲示物の位置や掲示状況が子どもの目線や読みたい、見たいと思えるような掲示になるように工夫をされてはいかがでしょう。掲示するのに子どもたちの部屋では、押しピンに代わる危険のない他の安価な商品が出ていますので工夫されることをお勧めします。
【子どもの意見要望の吸い上げ】
子どもの意向や主体性への配慮から、子どもたちの自主的な活動を大事にして高校生会やファミリー会議を持たれていますが、毎月行われていた高校生会は子どもたちの塾や部活、アルバイトの関係で年2~3回の開催になっています。また、ファミリー会議も各ファミリーに任せて必要な時に必要な回数を持たれているという事ですが、職員の意識の持ち方で、開催されない現象も出てくるのではないでしょうか?子どもたちの意見の吸い上げを確かなものにするために「開催回数や長期休暇の前に開催する」などの一応のラインを待たれ子どもの意見を聞く機会を定期的に持たれることが望まれます。
【子どもの権利】
権利ノートの活用
 職員は日常的に子どもの権利を尊重することをケアの視点として持ち、人権養護のチェックリストを活用し、職員一人一人が意識を持てるように努力をされています。また権利ノートについてももっと活用しなければならないという意識を持っておられます。子どもたちに権利ノートやそれに代わる資料などを活用して、生活の中で保障されるさまざまな権利について分かりやすく説明していくことが求められます。
【性教育への取り組み】
性をタブー視せず、年齢や発達状況に応じて性についての話題を意図的に行い疑問や質問があった場合は年齢や発達状況に応じて話をされています。性問題が起きた時の緊急的な対応だけでなく、命の大切さを伝えたり、問題の予防を目的とした継続的なカリキュラムを作成され、子どもへの性教育をいのちの教育の一環として取り組まれることが望まれます。
【7】第三者評価結果に対する施設のコメント 第三者評価受診を受けるに当たり、各部署間でのコミュニケーションが増え、現状の施設の状況を現場職員で確認出来た事は子どもの支援を行う中で意識の向上に繋がりました。また受診結果を受け、手順、マニュアル等の充実,新たに作成する必要のある物等、第三者からの助言を頂く事での気づき、支援のあり方の見直し、足りない物を補い、実践に向けて協議を重ね、一つずつ形にする事で、より質の高い支援に向けての課題が明確になりました。
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