社会的養護施設第三者評価結果 検索

平安徳義会乳児院

【1】第三者評価機関名 (一社)京都ボランティア協会
評価調査者研修修了番号 S25041
SK18218
S25042


【2】種別 乳児院 定員 20名
施設長氏名 吉田 龍生 所在地 京都府
URL
開設年月日 1933年09月03日 経営法人・設置主体 社会福祉法人平安徳義会
職員数 常勤職員 31名 非常勤職員 10名
有資格職員 保育士 21名 社会福祉士 1名
看護師 7名 臨床心理士 2名
栄養士 1名 調理師 5名
施設設備の概要 (ア)居室数 4ホーム (イ)設備等 調理室・プレイルーム・医務室・隔離室・観察室・心理療法室
(ウ) 洗濯室・相談室・親子生活訓練室・宿直室・スタッフルーム (エ) 面会室・多目的室・園庭・浴室・脱衣室・トイレ(6ヶ所)
【3】理念・基本方針 〈基本理念〉
私たちは、子どもの生命を、かけがえのない、社会で最も尊いものとして大切に守ります。
私たちは、一人ひとりの子どもの可能性を信じ、健やかな心身の発達を支援します。
〈養育支援〉
私たちは、一人ひとりがその子らしく生きていけるよう、保護者や里親と共に子ども達の育ちを支えます。
【4】施設の特徴的な取組 京都市においても出生数の減少を踏まえ、乳児院に求められているニーズを分析して、一時保護とショートステイ対象のユニットを設置し,長期入所児に対する心身の安定にも考慮されています。国や市の社会的養育の動向を意識されながら、本当に必要な乳児院のサービスを続けていくには何をして行かないといけないかを真摯に模索されています。経験の長い職員が多く、子どもたちの早期の家庭への移行を考え、保護者との信頼関係を構築し、家庭での養育の姿を保護者と共に追い求めながら、理念に沿って「一人ひとりの子どもたちが本当に大事にされている」乳児院です。
【5】第三者評価の受審状況 2020年12月10日(契約日)~ 2021年10月27日(評価結果確定日)
前回の受審時期 平成30年度
【6】総評 平安徳義会は明治23年中京区寺町の地に孤児院として創設されて、昭和8年に乳児預かり所として左京区岡崎の地で開設、昭和26年に乳児院として変更認可されました。昭和41年現在地の大原野へ移転し、平成29年乳児院の全面改築が行われ,中長期計画の先取りした運営をされています。乳児院の基本理念及び養育指針は,児童憲章と子どもの権利条約の理念を遵守し、最善の利益を追求して一人ひとりの子どもたちが、その子らしく生きていけるように養育支援をされています。
《評価できる取り組み》

【子どもを尊重した養育支援】
「乳児院倫理要綱」を具体的に示した「より適切なかかわりをするためのチェックポイント ー意識しよう 気づこう 子どもたちの思いー」をチェックリストとしてグループ内で毎月話し合い、養育・支援への共通認識を継続しています。昨年は「養育マニュアル」を作成し、標準的な養育支援と照らし合わせ、養育の課題抽出をおこなっています。1か月毎に個別支援計画の目標、支援内容を見直し、必要に合わせ心理士、看護師、栄養士等の参加を得て、保護者の要望も取り入れきめ細かな検討をおこなっています。子ども一人ひとりに担当職員を決めると共にグループの職員全員が個々の子どもの情報を共有して、安全、安心な養育で愛着関係の構築や健全な心身の発達を支援しています。

【保護者への支援】
保護者への諸説明は、面談を重ね良い関係を形成しつつ徐々に説明しています。入所のしおりには「乳児院に対する要望等あれば、遠慮なくお話しして下さい。聞いておきたい事、心配事はありませんか」と問いかけています。その姿勢は口頭でも繰り返し伝えています。面会室でゆっくりと面会やお話をして頂けるように個室にしています。また、親子生活訓練室を使用して、再び家庭での生活を始める親子や、里親として初めて子育てをされるご家族が、実際の住居に近い形での生活を、体験・練習が出来るようにしています。保護者には記録類、写真、封書への配慮の説明や、面会時に居室へは入れないこと、母子手帳の記入は保護者と一緒に記入して貰う事も了解を得ています。健康診断、受診時の同行への依頼、行事に招待するなど、あらゆる機会を通してよい関係の構築を目指しています。保護者から「入所当時とても丁寧に決まり事など教えていただきました」「急に電話した際も優しく、分かりやすく対応してくれました」「子どもの表情や先生方と話をしている様子から、子どもが楽しく生活しており大切にしていただいていると思っています」との声が多くあり、保護者の満足度はとても高い乳児院です。

【職員の就業状況への配慮】
超過勤務は減らす方法を職員と検討して「引継ぎ後は記録に専念する」ことを統一しています。有給休暇消化率は100%取得を目指しています。非常勤職員は本人の希望する形態や時間で雇用しています。職員は希望すればいつでも心理士に相談し支援を受けられる体制が整っています。健康診断、予防注射の実施や京都府民間社会福祉施設職員共済会にも加入すると共に職員互助会では、職員旅行や新年会・忘年会を開催しています。逆三角形の組織図で乳児院全体職員会議の意見や要望を各種委員会・看護師会・実習担当者会議・心理支援会議・ホーム別会議の意見も踏まえ運営委員会・統括管理委員会で検討する体制など、職員の意向を重視した働きやすい環境を提供しています。

《改善が求められる点》
【ヒヤリハット・事故報告書の集計と分析】
ヒヤリハットは所定の用紙で項目に分けて、見やすく書きやすい書式で作成しています。事例で子どもについている傷について検討し、予防への対応を検討していました。ヒヤリハットの提出数が少ないので職員の意識を高めてヒヤリハットの記入を心掛けてほしいと思います。また、事故報告書も所定の様式で報告されていましたが、集計や分析を行っていませんでした。どんな事故が、どの時間帯で起こっているのかなど集計、分析して再発防止を強化されることを望みます。そして、事故報告書書式の項目に、保護者への連絡と保護者の反応、出勤者での検討や対応内容、事故後の追記が望まれます。

【養育マニュアルの整備の継続】
昨年は職員で分担して「養育マニュアル」を作成されていました。その貴重なマニュアルに、生活していくうえで子どもが必要とする養育支援の追加を期待します。例えば、「環境」の項目で子どもに快適な環境を明記。「衣服」の項目に肌に良い素材や吸湿性の良い素材、TPOに応じた衣服の選び方、子どもの成長に合わせた衣服の選び方などを明記。「入浴」の項目で職員と一緒に入浴するが洗い方の手順がなく、湯船に入る時の注意点や洗い方の手順、風呂場での子どもの安全への注意点などで職員の入浴基準や注意を払う点も共有できると思います。他にもあると考えられますので、定期的に現状を検証し、見直しや追加を期待します。

【相談や意見に対しての対応マニュアルの設置】
保護者とは信頼関係を構築しながら細やかな対応をしています。保護者からの連絡は受架電記録に記入し、必要に合わせてホームリーダーから上司に報告、速やかに対応していくことを心掛けていますが、相談や意見に対しての対応マニュアルは作成していませんでした。どの職員でも同じ対応が出来るように、手順書の作成が望まれます。
【7】第三者評価結果に対する施設のコメント 実際以上に評価をいただいたようです。と思わずにはいられません。
元々マニュアル化、文章化という点が弱く、教えて頂きながら進めて参りました。まだまだその途中であり、不足分については引き続きご指導頂きながら進めていきます。以前にも「実際に行っているのにその記載がない」と教えて貰っています。ただすり替えるのではなく十分検討して納得した内容に変更していき、また改めて見直していく体制にしていきます。
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