社会的養護施設第三者評価結果 検索

グイン・ホーム

【1】第三者評価機関名 (社福)大阪府社会福祉協議会
評価調査者研修修了番号 SK15189
SK15180



【2】種別 児童養護施設 定員 30名
施設長氏名 小笠原 敏有 所在地 兵庫県
URL http://www.sirayuri-gakuen.or.jp
開設年月日 1967年10月01日 経営法人・設置主体 社会福祉法人 白百合学園
職員数 常勤職員 25名 非常勤職員 5名
専門職員 社会福祉士 1名 保育士 7名
社会福祉主事 5名 中学校教員免許 4名
臨床心理士 1名 栄養士 1名
施設設備の概要 (ア)居室数 30室 (イ)設備等
(ウ) (エ)
【3】理念・基本方針 基本理念
・父と母が安心して我が息子・娘を託せる施設でありたい。
・人格を持つ人が生活しているホームであることを決して忘れてはならない。

支援をすすめる上での二本の柱
①集団の中の個の確立
②最大限の自由と最小限の規律
【4】施設の特徴的な取組 ①支援をすすめる上での二本の柱として、「①集団の中の個の確立」、「②最大限の自由と最小限の規律」を掲げている。この考え方に基づいた支援を行うことに力を入れている。一人ひとりの性格や特徴をしっかりとつかんだ上で自立支援計画を作成し、それぞれに合わせた支援がすすめられるようにしている。

②職員の育成について、キャリアステップを作成している。ホームとして職員に対し、どのような方針で、どのような能力や役割を育てていくかが明記されている。それに基づいてOJT、OFF-JT、SDSの三つの面から育成をすすめている。

③上記のキャリアステップの中でOFF-JTの一つに内部研修を位置づけている。法人内で内部研修のプログラム(全45回)を作成している。今年度はそのうち25回を直接処遇職員は受講できる体制としており、理論を学び、実践に結びつけられるように考えている。共通の理論を学ぶことで、支援方法も統一されやすくなり、支援の質を高めることにもつながっている。
【5】第三者評価の受審状況 2017年05月01日(契約日)~ 2017年11月28日(評価結果確定日)
受審回数 1回 前回の受審時期 平成26年度
【6】総評 ◇施設の概要
 昭和35年に神戸市家庭養護寮第1号として設立され、虚弱児施設「グイン・ホーム」へと発展した社会福祉法人「グイン・ホーム」は、児童福祉法改正で虚弱児施設から児童養護施設へと種別変更されました。平成26年に高齢者施設や障がい者施設を運営する社会福祉法人白百合学園と法人合併し、社会福祉法人白百合学園「グイン・ホーム」となりました。神戸市の中心から神戸電鉄で北へ約30分の北鈴蘭台駅から徒歩圏内にあり、昭和50年~60年代に開発された大きな新興住宅地の高台にあります。旧外国の大学日本分校の校舎を改装して、1階部分は障がい者を支援するレストランと児童家庭支援センターと児童発達支援センターがあり、2階は児童心理治療施設「しらゆりホーム」、3・4階が「グイン・ホーム」となっています。定員30名、男女各3ユニット、全室個室で生活しています。
 創設時より「父と母が安心して息子・娘を託せる施設でありたい」「人格を持つ人が生活しているホームであることを決して忘れてはならない」を基本理念として運営し、養育・支援の2本の柱を「集団の中の個の確立」、「最大限の自由と最小限の規律」として掲げています。

◇特に評価の高い点
全室個室の小規模ケアと個別支援の充実
 平成27年に移転し、幼児から高卒児まで全室個室のユニットケアを実施し、「集団の中の個の確立」・「最大限の自由と最小限の規律」を支援の柱にして質の高い支援活動を行っています。各ユニットは定員が5~6名でリビングルームは落ち着いた安らぐ雰囲気で、居室は男子はブルーの扉、女子はピンクの扉であえて名札はなく、家庭的雰囲気を徹底した環境です。個室はプライバシーが守れるほっとできる空間になっています。また、支援の必要な子どもたちもいますが、措置変更をすることは極力抑えて努力しています。現在高校進学率は100%となっており、大学への進学も支援しています。取り組みは高く評価できます。

子どもを見守る姿勢と子ども間トラブルの予防の取り組み
 子どもの意思を尊重してルールで縛ることなく生活の規範を身につけるような支援に努めています。内部研修で職員全員が受容的態度やアクティブリスニング(傾聴)、予防的教育等の援助技術を繰り返し学び、実践しています。小規模ケアで子どもを丁寧に見守り、賞賛や励まし等の声掛けが細やかに行われています。全室個室の環境も子ども間のトラブル予防やタイムアウトにも有効で、取り組みは高く評価できます。

業務マニュアルの作成と活用
 前回の第三者評価で改善が求められた「業務マニュアルの作成」について、全員参加で養育・支援の業務内容を1つずつ振り返りながら話し合いを重ね、生活の流れから遊び・金銭管理・面会・外出、自立支援計画の作成等、業務の手順とその意味を網羅した「業務マニュアル」が作成しました。年1回はマニュアルの見直し・改善を重ねており、その作成プロセスとマニュアルの内容は高く評価できます。

職員への施設内研修の充実
 職員の子どもたちへの理解をより深いものにするために、法人独自の職員研修のキャリアステッププログラム(全9課題45回)を作って全職員が受けられるようにしています。このプログラムは年々職員が技量を高めていけるように工夫してあり、新任職員から管理職まで経験年数や職務段階によって受講する仕組みとなっており、外部研修と併せて人材育成方法として高く評価できます。

余暇活動の充実
 週末のお菓子作りや外出、夏休みの長期キャンプなど、子どもたちが施設へ来たことをマイナスと思わないように行事が盛りだくさん計画・実行されています。

◇改善が求められる点
職員のスキルアップへの支援
 内部研修は充実していますが、外部で大学院教育を受けようと志したり社会福祉士等の資格を取得しようと思っても、スクーリングを受講するための、日程上のゆとり等が少ないように見受けられます。法人内で協力し合って人員の融通をしたり工夫して有給休暇を取りやすくしたり、取得した資格を給与に反映したりする等、職員への支援も必要かと思われます。

アフターケア体制の充実
 里親支援専門相談員配置を神戸市が今年度から導入して、グイン・ホームでも配置を決めたので、家庭支援専門相談員と共に今まで以上に家族の再統合への働きかけと、退所児童とその家庭への支援、入所者の大学教育を続けていくための支援が、時代の要請としても求められます。 

保護者・子どもへの情報提供の工夫
 保護者には入所時にパンフレットで施設の説明が行われています。保護者等に来ていただきたい行事等の情報提供は電話で行われています。しかし、保護者が知っていた方が良い園内での生活情報はパンフレットでは分かり難い点がありますので、日課や面会のルール、行事等を記載した保護者版「生活のしおり」の作成の検討が望まれます。
 今後、広報誌を送付する際には子どもの近況報告を添える等の工夫が望まれます。
 施設に寄せられた保護者からの苦情への対処・解決の公表も必要ですが、苦情受付担当者や第三者委員の名前と連絡先などを知ってもらう工夫をして、苦情受付窓口のある事を周知していく事も必要です。また、園への入り口が分かり難い事と同時に、事務室から来訪者を確認しにくい点も改善が必要です。

子どものニーズを反映した食事献立の工夫
 各ユニットで少人数の落ち着いた楽しい雰囲気で食事が提供されています。朝食はパンかご飯、卵の調理方法が選べるというバイキング形式をとっており、子どもに好評です。子どもの嗜好調査は定期的に行われていますが、今回の調査では子どもの献立への不満が複数聞かれました。偏食指導も重要ではありますが、残食状況や子どもの特性も踏まえて献立の検討が望まれます。

親子訓練室の整備
 親子訓練室は未整備ですが、親子訓練室等の空間は親子が一緒に過ごす場だけではなく、ユニットが異なるきょうだいが一緒に過ごす、里親と子どもが関係を構築する、職員と子どもがゆっくり過ごす、また高校生等の自立生活体験の場としても幅広い活用方法が考えられますので、ハードの整備について検討が望まれます。
【7】第三者評価結果に対する施設のコメント  今回2回目の受審となりました。前回の受審で、評価の高い点、改善が必要な点が明確になりました。改善が必要な事項には計画を立ててホーム全体で取り組んできました。
それを踏まえて、今回は現在の状況について職員全員で確認し合い、さらなるサービスの質の向上に結びつけることを目的に受審しました。受審までの期間は、個人毎に自己点検を行い、それを集計し、項目ごとに話し合ってホーム全体の自己評価につなげるというプロセスですすめました。その中で、できていることや改善が必要なことについて、職員間での共通認識が高まったと感じます。
 今回の結果を受け、高い評価をいただいた点については、自信をもって取り組むとともに、さらにサービスの質の向上につながる取り組みにつなげたいと思います。特に、前回改善が必要な点として指摘をいただいた「業務マニュアルの整備」について、3年間取り組んで形にしてきたことが評価していただけたことは大きな自信になりました。また、改善が必要な点で、優先順位が高いと話し合った項目には、早速委員会を立ち上げました。今後は、委員会を中心に全員が参画できる形ですすめていきたいと思います。
 ありがとうございました。
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