【1】第三者評価機関名 | (社福)大阪府社会福祉協議会 |
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評価調査者研修修了番号 | SK15190 1502C031 |
【2】種別 | 児童心理治療施設 | 定員 | 30名 | |
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施設長氏名 | 村田 一実 | 所在地 | 兵庫県 | |
URL | http://www.sirayuri-gakuen.or.jp/ | |||
開設年月日 | 2015年04月01日 | 経営法人・設置主体 | 白百合学園 | |
職員数 | 常勤職員 | 25名 | 非常勤職員 | 1名 |
専門職員 | 社会福祉士 | 2名 | 保育士 | 4名 |
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社会福祉主事 | 9名 | 臨床心理士 | 1名 | |
栄養士 | 1名 | 高校教員免許 | 3名 |
施設設備の概要 | (ア)居室数 | 36室 | (イ)設備等 | |
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(ウ) | (エ) | |||
【3】理念・基本方針 | 父と母が安心して我が息子・娘を託せる施設でありたい。 人格を持つ人が生活しているホームであることを決して忘れてはならない。この施設に入所されている人が、人として幸せを感じられる豊かな生活づくりを基本目標とする。 |
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【4】施設の特徴的な取組 | ①職員育成について、キャリアステップを作成している。それに沿って職員育成をすすめるうえで、OJT、OFF-JT、SDSそれぞれの面から取り組む形としている。OFF-JTの中に位置づけている内部研修は、養育支援の基本となる理論を体系化し、45回のプログラムを作成している。法人内の各事業所が参加して行う形としている。1回の講座は講義60分、質疑・事例検討30分となっており、理論を実践にどう結び付けるかということを最大の課題としている。直接処遇職員が同じ講座を全員受ける体制を作ることにより、子どもへの理解が深まり、支援に結びつけることができている。 ②子どもの生活環境づくりに力を入れている。職員全体で意識的に取り組んでおり、子ども達が心地よく感じられるよう心掛けている。施設の理念にもあるように見た目の美しさだけでなく、内面の良い物、特に褒める、励ます、子どもの心に寄り添うといった支援にも活かされている。 ③支援を必要とする子どもを幅広く受け入れている。神戸市だけでなく兵庫県、大阪市からの措置も受けている。また、年齢や状況にかかわらず積極的に受け入れを行い、措置延長にも対応している。 |
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【5】第三者評価の受審状況 | 2017年01月11日(契約日)~ 2017年09月30日(評価結果確定日) | |||
受審回数 | - | 前回の受審時期 | - | |
【6】総評 | ◇施設の概要 昭和42年に設置された虚弱児施設「グインホーム」(平成10年に児童養護施設に種別変更)を運営している社会福祉法人グインホームと、高齢者施設や障がい者施設等多くの福祉施設を運営している社会福祉法人白百合学園が、平成26年に法人合併し、合併後の社会福祉法人白百合学園によって、平成27年に情緒障害児短期治療施設「しらゆりホーム」(平成29年に児童心理治療施設に改称)として開設されました。施設は神戸電鉄の北鈴蘭台駅から徒歩圏内の住宅街にあります。既存の専門学校の建物を改装、2階部分に設置され、男女各3ユニットのユニットケアで運営されています。1階部分には児童家庭支援センター、児童発達支援センターが、3,4階には児童養護施設「グインホーム」が、6階部分にはしらゆりホームの院内学級が設置されています。「父と母が安心して我が子を託せる施設を目指す」「子どもの最善の利益のために」を基本方針に運営されています。 ◇特に評価の高い点 充実した内容の治療・支援マニュアル 朝、職員の出勤時の業務の流れ、男女別の基本的生活習慣と各ユニット毎の治療・支援に係る時系列に沿った対応、その他治療・支援に必要な標準的実施方法を一冊の冊子にまとめ、全職員に配布しています。このマニュアルを、日々の子どもの治療・支援に活用するだけでなく、職員会議等で治療・支援の内容の検討を行う際の資料としても活用しています。 公正かつ透明性のある施設運営 施設運営等に経験を有する市の職員OBを法人として雇用し、法人所管の各施設の事務、経理、取引についての定期的なチェックと指導を実施しています。施設運営における内部牽制体制として評価できます。 子どもへの「最善の利益」を目指した支援 就寝前にはユニット単位で子どもとの間で1日の振り返りがなされ、子どもとの話し合いを通して得られた情報(意見・思い等)は職員会議で報告・検討され、「最善の利益」を目指した支援に活かされています。 また、必要に応じてカンファレンスが行われ、施設内の多様な職種が参加(職種間連携)し、時には児童相談所、医師が参加した事例もあり、アセスメント・自立支援計画の共有とそれらに基づく心理治療・精神科治療の展開につながっています。 健康管理 「しらゆりホーム看護業務マニュアル」に基づき子どもの心身の健康管理が営まれ、子どもの日々の健康状態が職員会議等においてケア担当職員、看護師間で共有されています。内服開始時には本人への説明が行われ、その後の服薬確認及び薬歴管理も生活の中でも綿密に実施されています。緊急時の感染症対策もマニュアル化され、対応への仕組みが備わっています。また、緊急時ではありませんが、各ユニットで、「とりあえずできること」ファイルを用意し、子どもの日々の体調管理への気づきと対策に役立っています。 ◇改善が求められる点 苦情解決制度の整備とその周知 苦情解決の体制については、それを周知するための掲示物の内容や掲示場所等の対応が不十分です。具体的な苦情解決の対応についても、対応の記録の整備、苦情内容及びその対応結果等の公表等が確認できません。今後は、有効な苦情解決体制の整備と、結果の公表が求められます。 子どもへの権利等についての周知 生活の関わりの中では、権利についての話をすることもありますが、定期的及び全体という場ではその説明は行われておらず、周知は十分とは言えません。他にも被措置児童等虐待の届出・通告制度や、事業計画についても同様です。「周知=情報提示・表示・説明」という点から改善が求められます。 中長期計画の策定 法人・施設の理念等の実現に向けたビジョンを明確にするとともに、将来の施設像(家庭的養護推進計画等)だけでなく、将来像の実現のための養育・支援のあり方、組織体制の整備、人材確保・育成等についての計画を加えた中長期計画を策定することが求められます。また計画実現の裏付けとなる中長期の収支計画も併せて策定することが求められます。 施設機能の地域への還元、地域ニーズに応じた公益事業の実施 施設機能の地域への還元、地域ニーズに応じた公益事業の実施等について、施設としての取り組みが確認できません。児童福祉施設として蓄積してきた子育て等のノウハウを地域の子育て支援の活動に活かすこと、多様な種別の社会福祉施設を運営しているという利点を活かして、法人の施設が合同で地域の福祉ニーズに基づく公益的事業を実施すること等が、施設の社会貢献として求められます。 子どもと地域の交流 子どもたちの教育は院内学級で対応(地域の小中学校への通学・通級は実施していません。)されており、高等学校通学児を除いて子どもたちが地域の子どもたち等と触れる機会が極端に少ない現状にあります。地域における様々な人たちとのふれあいの機会を確保・拡大することが求められます。 リスクマネジメント体制の構築 リスクマネジメントの体制が不十分です。子どもの安全・安心を確保するために、リスクマネジャーの配置、ヒヤリハット事例の分析・検討に基づく再発防止の取り組み等、施設としてのリスクマネジメント体制を構築することが求められます。 建物表示等の配慮 施設は、既存の建物を改修して利用しているため、施設の配置等がわかりにくい構造となっています。1階のエントランスから施設への行き方表示、施設入口の表示、事務所の表示、来訪者へも地域交流促進の観点で配慮が望まれます。事務室から来訪者を確認する手立ても確認できません。 |
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【7】第三者評価結果に対する施設のコメント | 今回初めての第三者評価を受けさせて頂きました。自己評価の段階から職員間で話し合いを行い、施設の基本方針から、細かい支援まで見直しを行いました。施設運営等、処遇以外の部分に関しては職員全体には周知ができていない部分もあり、施設運営、処遇全体について職員の情報共有、話し合いをする良い機会となりました。支援の統一やこどもの最善の利益を目指す支援については良い評価をいただき、今後さらなるこどもの支援の向上に向けて取り組んでいきたいと思います。改善点については職員だけでなく、施設、法人全体で改善していかなければならない点も多く、他の事業所とも協力して取り組んでいきたいと考えています。 今後も法人の理念、基本方針をもとにこども達が安心して生活できる環境づくり、こどもの気持ちに寄り添う支援の充実を目指して、職員一同努力していきたいと考えています。 |